Fate and Zero

 

第11話 「探索…」

 

 

 

「では、捜索隊を編成する。 我と思う者は、杖を掲げよ」

 

オスマンは言葉があたりに響く。

 

「おらんのか? おや? どうした! フーケを捕まえて、名をあげようと思う貴族はおらんのか!」

 

すると、俯いていたルイズが、すっと目の前に杖を掲げた。

 

「ミス・ヴァリエール! 何をしているのです! あなたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて」

 

「誰も掲げないじゃないですか」

 

詰め寄ってきた教師にルイズははっきりと言った。

 

それと同時に、キュルケも杖を掲げた。

 

「ツェルプストー! 君は生徒じゃないか!」

 

キュルケも詰め寄ってきた教師にはっきりとした言葉を放つ。

 

「ふん。 ヴァリエールには負けられませんわ」

 

キュルケがそう言うと、タバサも杖を掲げた。

 

「タバサ。 アンタはいいのよ。 関係ないんだから」

 

「心配」

 

そのタバサの言葉に、キュルケは感動した様だった。

 

ルイズも唇をかみ締めて、礼の言葉をタバサに言った。

 

「ありがとう……。 タバサ」

 

そんな三人の様子を見つめて、オスマンは笑った。

 

「そうか。 では、頼むとしようか」

 

「オールド・オスマン! 私は反対です! 生徒たちをそんな危険にさらすわけには!」

 

「では、君が行くのかね?」

 

「い、いえ……、わたしは体調が優れませんので……」

 

だったら余計な口を挟むなと俺は思った。

 

「彼女たちは、敵を見ておる。 その上、ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いておるが?」

 

ただ返事をせずに経っているタバサに、教師たちは驚きの視線を送る。

 

「本当なの? タバサ」

 

キュルケも驚いているようだった。

 

「なあ、ルイズ」

 

俺は小声でルイズに話しかける。

 

「何よ?」

 

「シュヴァリエって言うのは何の称号なんだ?」

 

教師たちの驚きようから、タバサぐらいの年では珍しいのだろう。

 

「シュヴァリエは、王室から与えられる爵位としては最下級の称号なんだけど、男爵や子爵ぐらいの爵位なら領地を買うことで手に入れることもできるけど、シュヴァリエは純粋に業績に対してのみ与えられる爵位なの」

 

「そうなのか」

 

「ええ、私たちぐらいの年では、まず持っていないわ」

 

やっぱり、タバサはかなりの実戦経験をつんでいるって事か。

俺だけじゃあ、3人とも守れるか、少し不安もあったが大丈夫そうだな。

 

「ミス・ツェルプストーは、ゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家系の出で、彼女自身の炎の魔法も、かなり強力と聞いておるが?」

 

キュルケは得意げに、髪をかきあげる。

 

それから、ルイズは自分の番だと言わんばかりに胸を張った。

が、オスマンは困ったような表情をした。

おそらく、ほめるところが中々浮かばないのだろう。

 

こほん、とワザとらしい咳をすると、オスマンはルイズから目を逸らしながら言った。

 

「その……、ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを排出したヴァリエール侯爵家の息女で、その、うむ、なんだ、将来有望なメイジと聞いておるが? しかもその使い魔は!」

 

オスマンは急に俺に視線を向けてくる。

 

(何かおれ自身について感づかれたか? それともこのルーンについて何か知っているのか?)

 

その可能性を考えた。

 

「平民ながらあのグラモン元帥の息子である、ギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝ったという噂だが」

 

「そうですぞ! なにせ、彼はガンダー」

 

オスマンは慌ててコーベルの口を押さえた。

 

「むぐ!」

 

(ガンダーなんだ? あの2人は何かこのルーンについて知っているのか? 少し、注意しておくか)

 

オスマンは教師たちに威厳のある声で言った。

 

「では、この3人に勝てると言うものがいるなら、前に一歩でたまえ」

 

誰も前に出ようとはしない。

その様子に俺は、この教師たちに少しだけ憤りを感じた。

 

オスマンは、俺たち4人に向き直った。

 

「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」

 

ルイズにキュルケ、タバサは真顔になって直立する。

 

「杖にかけて!」

 

と同時に唱和した。

それからスカートの裾をつまみ、礼をする。

「では、馬車を用意しよう。 それで向かうのじゃ。 魔法は目的地に着くまで温存したまえ。 ミス・ロングビル!」

 

「はい。 オールド・オスマン」

 

「彼女たちを手伝ってやってくれ」

 

「もとよりそのつもりですわ」

 

 

 

俺たち4人はミス・ロングビルを案内役にし、早速目的の森へと出発した。

 

馬車は、襲われたときの事を考えて、すぐに外に飛び出せるよう、屋根無しの馬車だった。

その馬車の御者はミス・ロングビルだ。

 

キュルケが、黙々と手綱を握る彼女に話しかける。

 

「ミス・ロングビル……、手綱なんて付き人にやらせればいいじゃないですか」

 

「いいのです。 わたくしは、貴族の名をなくした者ですから」

 

きょとんとするキュルケ。

 

「だって、貴女はオールド・オスマンの秘書なのでしょう?」

 

「ええ、でも、オスマン氏は貴族や平民だと言うことに、あまり拘らないお方です」

 

それを聞き、俺の中でオスマンの評価が少し上がった。

 

「差しつかえなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」

 

キュルケの問いに、唯、彼女は微笑むだけだった。

おそらく、言いたくないのだろう。

 

「いいじゃないの。 教えてくださいな」

 

キュルケは自分で差しつかえがなかったらと言ったのに、興味津々の様子で御者台ににじり寄る。

そのキュルケの肩をルイズがつかむ。

すると、キュルケが振り返り、ルイズを睨みつけた。

 

「なによ。 ヴァリエール」

 

「よしなさいよ。 昔のことを根掘り葉掘り聞くなんて」

 

「暇だからおしゃべりしようと思っただけじゃないの」

 

「あんたの国じゃどうか知りませんけど、聞かれたくないことを、無理やり聞き出そうとするのはトリステインじゃ恥ずべきことなのよ」

 

キュルケはそれに答えず、足を組んだ。

 

「ったく……、あんたがカッコつけたおかげで、とばっちりよ。 何が悲しくて、泥棒退治なんか……」

 

ルイズはキュルケをじろりと睨んだ。

 

「とばっちり? あんたが自分で志願したんじゃないの」

 

「あんた1人じゃ、シロウが危険じゃないの。 ねえ、ゼロのルイズ」

 

「どうしてよ?」

 

「いざ、あの大きなゴーレムが現れたら、あんたはどうせ逃げ出して後ろから見ているだけでしょう? シロウを戦わせて自分は高みの見物。 そうでしょう?」

 

「誰が逃げるもんですか。 わたしの魔法でなんとかしてみせるわ」

 

「魔法? 誰が? 笑わせないで!」

 

2人は睨み合いを始める。

タバサは相変わらず、淡々と本を読んでいるだけだ。

 

「はいはい、喧嘩は、よせ2人とも」

 

「ま、いいけどね。 せいぜい怪我をしないことね。 ルイズ」

 

キュルケはそう言うと、ルイズは唇をじっと噛む。

 

 

 

 

 

 

【次回、土くれのフーケ対する士郎くんたち、『破壊の杖』の行方はいかに?】

 


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