Fate / open the demonbane
第30話 「対決…」
「藤ねえ……」
一目見て、目の前の大河の異常に気が付く士郎。
「やぁ、シロウ エミヤ。 始めまして」
大河の口から男の声が発せられた。
「誰だ?」
「私の名前かい? シュナイダル・ラルフ・ヴォーケンと言えば分かるかな?」
「シュナイダル?」
士郎は言われた名前を自分の記憶と照らし合わせる。
だが、士郎は覚えが無い。
「シロウ、知っている人物ですか?」
セイバーが尋ねてくるが、士郎は首を横に振る。
「いや、覚えが無い」
士郎の呟きは如何やら向こうにも聞こえたみたいで――
「何だと、貴様! 何処までも俺をコケにしやがって! 殲滅者! アイツのサーヴァントを足止めしろ! アイツは俺が直々に成敗してやる!」
大河を操っていると思われる人物はあっさりと激昂すると、士郎に襲い掛かる。
大河が……。
「シロウ!」
「邪魔はさせん!」
士郎の方に向かおうとしたセイバーだが、その進路にスレイヤーが割って入り、剣を叩きつけてきた。
「くっ」
セイバーはその攻撃を自分の持っている剣で防ぐ。
「受け止めたか。 流石はセイバーのサーヴァント」
バチンと剣を弾くとお互いに距離を取る。
セイバーは目の前のサーヴァントの強さが並では無い事に気が付く。
(イレギュラーサーヴァントですか……、簡単には士郎の援護に行かせて貰えそうにありませんね)
「行くぞ!」
セイバーとスレイヤーの戦いが始まった。
「はぁ!」
振るわれる剣の猛攻を士郎は全てかわしていく。
「いい加減に切られろ!」
(間違い無く体は藤ねえだな。 となると、憑依か遠隔操作で操ってるって事になるけど……、結界の術式からアレは現代のものだから恐らく近くに結界を張った本人がいるな)
着々と戦況を分析していく士郎。
「おい! 何で俺を狙う!」
士郎は駄目元で理由を聞いて見る。
「何でだと! 貴様の所為で俺の人生がメチャクチャになったからだ!」
「メチャクチャ?」
「ああ、そうだ! 貴様が去年、俺の手柄を横取りしてから我が家の没落が始まった!」
「去年……」
士郎はシュナイダルの言葉で思い出そうとする。
「余所者の魔術師に手柄を取られた所為で、時計塔での俺の評価は地に落ち、婚約者からは婚約を破棄される始末!」
「婚約者って誰だ?」
それまで当たらぬ剣を延々と振り回していた相手はピタリと止まる。
「……ボソボソ」
「?」
余りにも小さな声で聞き取れ無かった士郎。
「アーチボルトの現当主だ! 彼女との結婚が決まっていれば俺の将来は保障されていたものを!」
その言葉を聞いて漸く士郎は納得した。
時計塔で講師をしている知り合いの魔術師経由で、近頃当主に求婚を申し込んでくる五月蝿い魔術師達を如何にかしてくれと言う依頼があった。
その依頼を引き受けた士郎は他の求婚者達を押し退け、当主の出したやり遂げたものを婚約者にすると言う難題をやり遂げた。
勿論、婚約は辞退したのだが……。
「しかし、貴様は彼女をアッサリと捨てたばかりか! こんな辺境の土地でハーレムを作っている! こんな事を許してたまるか!」
元々、シュナイダルの時計塔での評価は宜しくなく、家も衰退していっていた。
それを挽回する為に、時計塔でも有数の勢力を誇るアーチボルト家との婚姻を目指していたのである。
つまり、完全無欠な士郎に対しての八つ当たりであった。
「分かった。 つまり、アレだな。 そんな事で藤ねえを巻き込んだのか」
士郎の言葉を聞いて、隠れているシュナイダルはゾクリと震える。
士郎の雰囲気が明らかに変化した。
「貴様、覚悟は出来ているな」
「っ!」
決して本体を捕らえていない士郎の眼光だったが、その鋭さに後ずさるシュナイダル。
「はーっ!」
「ふっん!」
剣と剣とのぶつかり合う。
セイバーとスレイヤーとの勝負は膠着状態が続いていた。
(くっ!)
セイバーは目の前のサーヴァントに如何してかは分からないが、得体の知れ無いやり辛さを感じていた。
スレイヤーの方は明らかに余裕を持って戦っている。
「なぜ、仕掛けてこないのですか」
明らかに、相手は踏み込むべき所で踏み込んできていない。
攻撃に関して手を抜いているのがセイバーには分かった。
「何、マスターの命で今回は足止め役だからな。 それに貴様のとは相性が良いのも分かった」
ニヤリと笑みを浮かべるスレイヤー。
「……」
確かに、目の前のスレイヤーの言う通り、セイバーは戦って勝つイメージ、直感が湧いてこなかった。
「もう少し、付き合って貰いますか!」
「いい加減に終わらせて貰います!」
2人が再び衝突しようと掛けだした瞬間、士郎達の方から眩い光が放たれた。
「如何する心算だ! この体は貴様の身内だ! 貴様が手出し出来ない事は調査済みだ」
士郎の圧力に呑まれない様に、精一杯の虚勢を張るシュナイダル。
「投影開始」
しかし、そんなシュナイダルの言葉を無視して士郎は弓と矢を投影する。
「は、張ったりだな!」
士郎は矢を番え、弦を引く。
「ま、まさか! は、話が違うぞ! 人質を取れば手出しが出来ないんじゃ無かったのか!?」
(話?)
士郎は疑問を浮かべるが直ぐに頭の外に出し、矢を放った。
「!!!」
士郎の放った矢は大河の胸を貫き、辺り一面が光に包まれた。
光が収まった時には、大河の姿は消えていた。
【漸く完成です。 皆様お待たせしました! 今回は新キャラ登場です! 最近、忙しくて執筆に時間が余り割けなくなって居るこの頃。 無双の方の更新も予定していたのですがそちらはもう少し掛かりそうです。 本当に申し訳ありません。 大河は如何なったのか? 次回へ続きます!】