私は今、茶道部の部室で茶々丸の淹れたお茶を飲んでいる。
「うん・・・」
「結構なお手前で・・・」
と言い。私以外の茶道部員と茶々丸が礼をする。此処は良い・・・・常に静かであり心が落ち着く・・・・・しかし、私とした事がさっきの授業はなんだ。ずっとボ――ッとして士郎の顔を見ただけで何も考えれなくなってしまった。その所為で士郎の授業を殆ど覚えてはいないではないか!! まあ後で、茶々丸に授業中の映像を見せて貰えば良いのだが・・・・・・とんでもなく悔しい!!
第十四話
side 士郎
さてと、今日のお勤めも終わったし。後は、茶々丸に頼まれた物を部屋で作って持っていくだけか。俺はそう思い席を立ったすると
「士郎、ちょっと付き合ってくれないか? 」
とタカミチに呼び止められた
「付き合えって何所にさ」
俺が聞き返すとタカミチは
「学園長にエヴァを呼んできてくれって頼まれたんだけど、一人で行くっていうのもなんか寂しいからさ。仕事も終わってこれから帰るだけの親友に付き合って貰おうと思ったんだけど・・・・・・だめかい? 」
と言った。う〜ん付き合っても良いけど茶々丸との約束も在るからな〜・・・・・あっ、でもエヴァと茶々丸は普段から一緒に居るから、その時に少し遅れるって伝えればいいか・・・・・それにしてもタカミチは普段は大人っぽいのに、とゆうより大人だけど俺と居る時はなんて言うか昔に戻るんだよな〜
「いいよ。親友の頼みだしな」
俺がそう言うとタカミチは笑顔で
「士郎ならそう言ってくれると思ったよ」
と言って歩きだした。たぶん俺も笑顔になっているのだろう。そう思い俺もタカミチの後に続いた
「士郎、今晩どうだい」
タカミチは酒を飲む仕草をしながら聞いてきたので
「最高の肴を作ってやるよ」
と言ってやった。それから二人して笑い談笑しながら茶道部の部室に向かった。この時間帯なら道の途中で会う可能性が高いだろう・・・・
side エヴァ
部活も終わったので、私は茶々丸と一緒に自分の家の帰路経った。私は歩きながら茶々丸に言った
「茶々丸、ネギ・スプリングフィールドに助言者がついたかもしれん。しばらく私のそばを離れるなよ。もしも私から離れるような事になったら士郎かタカミチの近くに居ろ、あの二人が近くに居れば坊や達も迂闊には動けないはずだ」
「はい、マスター」
私が茶々丸と話していると後ろから声を掛けられた
「おーいエヴァ」
タカミチか
「何か用か仕事ならしてい・・・・士郎!! 」
私が驚いていると士郎が
「よっ、昼は膝枕ありがとなエヴァ」
と言ってきた・・・・・・やばい思い出したら急に恥ずかしくなって来た・・・・・どうしよう。するとタカミチから救いの手が差し伸べられた
「学園長がお呼びだ、一人で来いだってさ」
「わっ、わかった直ぐ行くと伝えろ。茶々丸直ぐ戻るから必ず人目のある所を歩くんだぞ」
私は茶々丸にそう言うと学園長室に向かって歩き出した・・・早足で
「それじゃあ士郎、付き合ってくれてありがとう。また夜に」
「おう、美味い酒持って来いよ」
とタカミチは士郎と話してから直ぐに歩き出した。歩幅が違うので直ぐに追いつかれた私は、少し気になったのでタカミチに話掛けた
「タカミチ、お前は士郎と親しい様だがどういう関係なのだ? 」
私が聞くとタカミチは少し嬉しそうに
「そうだな〜心の許せる親友で負けたくないライバルかな(そしてナギさん達と同じように何時か追いつきたい人かな)」
「ライバル? 士郎と戦った事が有るのか? 」
私は興味本位でタカミチに聞いてみた。まあ士郎がタカミチ相手に良い勝負したというところだろうがな、しかし私の予想は外れた
「有るよ、戦いって言うより試合みたいなもんだけどね。24戦0勝22敗2引き分けで、僕が圧倒的に負け越してるけどね。試合の条件は魔法も武器も使わないで使って良いのは自分の拳と気それと魔力だけでね」
「なっ!! 」
「エヴァが驚くのも無理はないよ。もし士郎と士郎本来の戦闘スタイルで戦えって言われたら、僕に勝ち目はないからね。だけど、あの頃は疲れも取れてないのに悔しくて向かっていってたからね〜。今やれば多分勝てるかな?」
私は驚きの余り声がでなかった
Side 士郎
「わっ、わかった直ぐ行くと伝えろ。茶々丸、直ぐ戻るから必ず人目のある所を歩くんだぞ」
そう言ってエヴァは学園長室に向かって行った。早足なのは俺の気のせいだろうか? まあいいか、取り合えず茶々丸に少し遅れる事を伝えないとな。
「茶々丸、申し訳ないんだけど少し遅れる」
「いえ、構いません。衛宮先生にも用事が在ったのですから。私も少し遠回りして行きますので」
「ごめんな」
俺は謝り全速力(魔術を使わない)で部屋へと向かった。途中ネギ達の魔力を感知したが大丈夫だろう。ネギは自分から進んで戦おうとはしない子の筈だから
side out
「茶々丸って奴の方が一人になった。チャンスだぜ兄貴!! 一気にボコッちまおう!」
茂みに隠れカモがネギに言った
「だめー人目につくと不味いよ。もう少しまってー」
ネギは慌てながらカモに言った
「な・・何か辻斬りみたいでイヤね。しかもクラスメートだし」
と言うアスナだが、辻斬りみたいではなく辻斬りと同じ様な気がするのは作者だけだけだろうか?
「でもまあ、あんたや蒔絵ちゃんを襲った悪い奴らなんだしね。何とかしなくちゃ・・・・・・ん? 」
茶々丸の歩いている道の先で、女の子が泣いていた。
「あたしのフーセン、あたしのフーセンー」
どうやら風船が木に引っ掛ってしまったらしい。茶々丸は泣いている女の子の前まで行き木に引っ掛った風船を見上げ少し考えてから・・・・バシャッ!! という音とともに茶々丸の背中、肩甲骨のあたりが開きドドドドドドとジェット機の様な音を立てて飛び、風船を掴み女の子に渡した。風船を掴む時にゴチィ!! とおでこを打ったのはご愛嬌だろう、女の子は茶々丸を怖がりもせずに
「お姉ちゃんありがとう―――」
と笑顔で言った。茶々丸は女の子と別れるとまた歩き出した。すると、さっきの女の子と同じ位の子供達が集まって来た。ネギ達は茶々丸が飛ぶのを見てポッカ――――――ンとしている、
「飛んだ・・・・・・・? そ、そー言えば茶々丸さんってどんな人なんですか? 」
ネギが今更な疑問を口にした
「えーと・・・・あれ? 」
アスナが言う
「いや、だからロボでしょ? さすが日本だよなー。ロボが学校にかよっているなんてよう」
カモが当たり前の様に言うと
「え”え”え”っ!?」
とネギは驚き
「じゃ、じゃあ人間じゃないの!? 茶々丸さんって」
とアスナは「嘘――――!!」と言い驚いた。カモはそんな二人に対して
「うおぉぉい!!見りゃわかんだろ!?」
とツッコンだすると
「い、いやーホラ私メカって苦手だし・・」
「実は僕も機械は・・・」
と言い訳するが
「そーゆー問題じゃねえっスよぉ!!」
とまたカモにツッコまれていた。一方茶々丸は、お年寄りが大変そうに歩道橋を上っていれば背中におんぶし、礼を言われ。子猫がドブ川の真ん中に箱ごと流されて居れば、自分が汚れるのも構わずに子猫を救出する。周りの人達は「また茶々丸さんが」 「さすがは茶々丸さんだ」 「彼女は麻帆良の救いの女神だ」 と褒められていた。茶々丸は麻帆良学園の平和の象徴として周りから称えられて居るらしい。その姿を見ていた二人と一匹は
「メチャメチャ良い奴じゃない!! しかも街の人気者だし!!」
とアスナは言い
「えっえらい!!」
とネギは感動している
「い、いや油断させる罠かもしれないぜ兄貴!!」
とカモは言う。するとリンゴ――――ン リンゴ――――ン と鐘の音がなり茶々丸が歩き出したので、ネギ達は「何所に行くんだろう?」と思い尾行を再開した。茶々丸は人気の無い開けた所に着くと立ち止まった。すると建物の角から数匹の猫が集まって来た。茶々丸は手に持っていたビニール袋から、器と猫缶を取り出し猫達に餌を与え始めた。茶々丸は集まって来た猫達の中に居る。白と黒の子猫を見ると
「もう少ししたらあなた達のエサを衛宮先生が持って来てくれるから、少し待っててください」
と言った。ネギ達には茶々丸の声は聞こえていないが、猫に餌を与える茶々丸の姿をみて「いい人・・・・」と感動していた。ネギにいたっては感動の余り泣いている。二人の姿を見てカモが
「ちょっ・・・待ってください二人とも!! ネギの兄貴は命を狙われたんでしょ!? しっかりしてくださいよう!! と、とにかく人目の今がチャンスっす。心を鬼にして一丁ボカ―――っとお願いします」
と言う。ネギとアスナは今までの茶々丸の行いを見ているので
「で、でも―・・・」
とネギは渋り、アスナは少し考えてから
「・・・・・しょーがないわねー」
と茶々丸と戦うこと決めた。ネギはアスナに反論しようとしたが
「兄貴よーく考えてください。何もあの茶々丸って言うロボを壊すって訳じゃないんすよ。少しの間だけ戦闘が出来ないようにするだけでいいんす。」
とカモに言われ不満そうにしながらも戦うことしたようだ。カモは、ネギが戦う事に決めた瞬間にニヤリと笑った。なぜならば、カモがネギに言った事は詭弁だからである。普段のネギならばすぐにカモの言った矛盾に気づいただろう。しかし、今のネギは命を狙われており、敵であるエヴァンジェリンの従者・茶々丸を倒してしまおうと考えそれを実行に移そうしたが、茶々丸の行い(今日だけだが)を見ていたのだが、茶々丸は見ている限り善人なのだ(ロボだが)そんな人に奇襲を掛けるような真似はできないという考えも出てきているので、混乱しているのだ。彼は魔法使いだが所詮十歳の子供なのだ。攻撃する時の微妙な力加減など出きる訳が無い。もし今のネギの心境を理解して、ネギに詭弁を言ったのならばカモは中々の策士だろう。さらにカモは自分の言った詭弁に気づかれないように続けて言った。
「兄貴!! 相手はロボだ。手加減していちゃダメッスよ? ここは一発派手な呪文でドバーッとやるんすよ!! 」
これも詭弁。カモがネギに言った事を簡単に言うと、「弱い攻撃では無く強い攻撃でぶっ飛ばせ」と言う事である。ネギはカモの言葉の裏を正確に理解できずに「うん」と言い、茶々丸の近くにより
「茶々丸さん」
と言った。茶々丸は
「・・・・・こんにちはネギ先生、神楽坂さん・・・・油断しました。でも、お相手はします。」
と言い。後頭部に付いているゼンマイ回しを、カキンと取り外した。
「茶々丸さん・・・・僕はあなたと戦いたくありません。だから、僕を狙うのをやめていただけませんか? 」
とネギは茶々丸を説得しようとするが、茶々丸はネギに一礼し
「申し訳ありませんネギ先生。私にとってマスターの命令は絶対ですので、その提案は受け入れられません」
と言った。
「ううぅ〜しかたないです・・・・では茶々丸さん」
「ごめんね」
とネギとアスナは言い。茶々丸は「はい」と答え周りに居た猫達を追い払った
「神楽坂 明日菜さん・・・・いいパートナーを見つけましたね。ネギ先生」
茶々丸はそう言い。手に持っていたゼンマイ回しを投げた
「行きます!! 契約執行10秒間!!ネギの従者『神楽坂 明日菜』!!! 」
アスナは体に魔力が流れる感覚を感じると同時にドン!! と茶々丸に向かって走り出した。茶々丸はアスナを迎え撃とうと構えるがアスナに左腕を弾かれデコピンをくらった
「速い! 素人とは思えない動き・・「ラス・テルマ・スキル・マギステル」・・・!?」
茶々丸はアスナの攻撃を受けながらも聞いた。ネギの魔法詠唱を
「光の精霊11柱集い来たりて・・・・・」
茶々丸はアスナに足払いを掛け、ネギの魔法を完成させない為にネギに攻撃しようとするが遅かった
「魔法の射手連弾・光の11矢!!」
呪文の完成と同時にネギの周りに現れた11の光球が、一斉に茶々丸に向かって放たれた。茶々丸は瞬時に
「追尾型魔法至近弾多数・・・・回避不可能」
と言い。続けて
「すいませんマスター・・・もし私が動かなくなっても猫のエサを・・・・それと衛宮先生、子猫の世話をお願いします・・・・もう少しあなたと話て見たかったです。」
「簡単に諦めるな」
茶々丸は聞いた。ネギ達には聞こえてはいないが確かに聞いた。今この場に居ない人物の声を
「ダメーッ戻れ!! 」
ネギが茶々丸の言葉を聴き自分に向かって魔法の矢を自分の方え向けたが、11の光の矢は同じ11の何かに貫かれた。ネギは光の矢を貫いた何かを見ようとしたが、その何かは地に突き刺さった瞬間爆発した。
「ネギ!!」
「兄貴―――!!」
アスナとカモは吹き飛ばされたネギに向かって同時に走り出した。すでに茶々丸は居なかった
時間はネギ達が茶々丸と戦い始める少し前
side 士郎
「ん――思ったよりも遅れちゃったけど、茶々丸も遠回りするって言ってたから大丈夫かな?」
そう言い。俺は肩からポットを下げ茶々丸と約束した場所に向かって歩いていた。丁度茶々丸と約束した場所まで半分という距離まで来たところで、俺は誰かの魔力が大きくなるの感知した。
「この魔力は・・ネギ? ・・・・・まさか!?」
迂闊だった。確かにネギは自分から争いを起こそうとしない子だが、可能性が無い訳では無い。俺は直ぐに魔力回路に魔力を流し
「強化・開始(トレース・オン)!!」
自分の体を強化し走り出した。俺が茶々丸を発見した時には、ネギが11の光の矢を放った瞬間だった。間に合わないそう思った瞬間、強化した俺の聴覚が茶々丸の声を聞いた
「すいませんマスター・・・もし私が動かなくなっても猫のエサを・・・・それと衛宮先生、子猫の世話をお願いします・・・・もう少しあなたと話て見たかったです。」
‘ 間に合わない? なぜそう思う。誓ったのだろう大切な者を護ると、ならば護って見せろ!! 貴様の敵は自分自身だという事も忘れてしまったのか? このたわけが!! ’
聞こえる筈の無い奴の声が聞こえた
「最大強化・開始(トレース・オン・マキシム)!! 投影・開始(トレース・オン)!!」
強化した体を更に強化し、更に加速する。一瞬とは言わない。しかし、一秒よりも速い時間で俺は茶々丸のそばに着く。すると自然と声がでた
「簡単に諦めるな」
この言葉は茶々丸に言った事なのか、自分に言った事なのかは分らないが今は関係ない。俺は茶々丸の背と膝裏に腕を回し、抱き上げ、スピードを緩めずにその場から跳んだ。ネギの命令で方向転換した11の光の矢に向けて、11の黒鍵を放ち。貫いたの確認すると同時に爆発させた。ネギが近くにいたが黒鍵は宝具と違い爆発の威力がかなり弱いし、この世界の魔法使いには障壁があるので、擦り傷程度の怪我で済むだろう。それにネギの潜在魔力はかなりデカイから擦り傷すら負わない可能性の方が高い。俺はそう思い近くの建物の屋根に降りた。
「大丈夫か? 茶々丸」
茶々丸にそう聞くと
「大丈夫ですと言いたいのですが、スピードが余りにも速かったので体に負荷が掛かっています。まだ視力が回復するのに40秒ほどかかります」
と答えた・・・・・いや、俺も驚いてるんだけど。アレだけのスピードを出しても体のどこにも以上はないし、強化した体を更に強化したのに魔力回路に不具合も出ていないし
‘フン やれば出来るではないか’
赤い弓兵が笑ったような気がした
「黙って見てろ、理想を追いかけるのに疲れて曲がった根性なしが」
「どうしたのですか衛宮先生?」
どうやら口に出してしまった様だ。俺は何でも無いと言い茶々丸にポットを渡した
「衛宮先生あの・・・・そろそろ下ろして欲しいのですが・・・」
茶々丸に言われ、俺は茶々丸をお姫様抱っこしている事に気づいた
「すまん」
俺は茶々丸を直ぐに下ろし謝った。茶々丸は
「いえ」
と言い直ぐに許してくれた。俺は茶々丸の言葉を思い出し、茶々丸に不具合が出ている可能性が在るかも知れないので明日メンテナンスすると伝え。その場を離れた・・・・・・今日は何を作ろうかな〜
side 茶々丸
衛宮先生が去った後、私はネギ先生と戦った場所に戻り。子猫に衛宮先生に頼んで作って貰ったミルク(生温い)を飲ませていた。子猫達は、余程お腹が空いていたのか衛宮先生が作ったミルクが美味しいのか、物凄い勢いで飲んでいる・・・・・
「ネギ先生・・・・・・・・・ネギ・スプリングフィールド」
なぜ彼は魔法の矢を自分に向けたのだろうか・・・・分らない。私は敵の筈なのに。それと衛宮先生、彼は何故私を助けたのだろうか分らない。そして彼に抱き抱えられた時に感じた体が熱くなる感覚、最初は体に負荷が掛かったために回路の一部がオーバーヒートしたのかと思ったが、自己診断プログラムによると回路の何処にも損傷はなかった。そうだ明日聞いてみよう。彼は明日、私のメンテナンスをすると言っていた。その時に聞いてみよう。私はそう決断し、子猫に与えていたミルクを片付け家へと向かった
時間は夜。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルはピクリと、眉を動かした。
「侵入者? いや人にしては気配が無さ過ぎる。妖魔か・・・茶々丸でるぞ」
エヴァンジェリンは自分の従者である、茶々丸に声を掛け家を出た。
夜の森は暗く足元も森の木々に阻まれ見難く為っているが、彼女は警備員。暗い所を歩くのは慣れているし、隣には科学と魔法の結晶とも言える茶々丸が居るので転ぶこともない。
エヴァンジェリンは敵を感知した場所に着くと目を細めた。
「侵入者が入ったにしては草が踏まれた痕跡が無い・・・飛んでいるのか? いや羽ばたく音も、風を切る音も聞こえない・・・・!! 茶々丸!!」
エヴァンジェリンは、自分の従者の名を呼び横に飛退いた。すると、エヴァンジェリン達が先程まで居た草地が閃光により焼かれた。エヴァンジェリンは、すぐに周囲を見回しソレを発見した。
「幽霊(ゴースト)・・・だと」
エヴァンジェリンの言葉に茶々丸が答える
「Yes、肉体の存在を確認できません。」
「そんな事は見れば解る。しかし、何故ゴーストがアレ程の魔力を放てる。」
「・・・・・・検索の結果、該当数三件、最良と最悪どちらの情報から言いましょうか?」
彼女達は、喋りながらもゴーストが放つ閃光・・・魔力の塊を避ける。
「どの道、今まで私が始末してきた侵入者のドレかの怨霊か、思念集合体か、召喚した妖魔に似た様な物を融合させた出来損ないだろ。」
「Yes、・・・しかし最後が違います。アレは「さむい・・・」」
ソレは体の芯から冷たく為る様な声
「冷たい・・・痛い・・寒い・・憎い・・エヴァンジェリン・・憎いぃぃ・・」
ソレは一つで在りながら複数
「まさか・・」
エヴァンジェリンは茶々丸が言をうとした最後の答えに辿り着き、ゴーストを凝視した。
「はい、其のまさかです。怨霊集合体・レギオンです」
エヴァンジェリンは悪態を吐き、言う。
「チィ、これは刹那達退魔師の領分だぞ。ある意味、真祖で在る私よりも厄介だぞ。教会の奴等が使う魔法など私は使えないから余計にだ。」
「しかし、此処に刹那さんは居ませんのでマスターが時間を稼ぐか、消滅しなければなりません。マスターに恨みを持っているようですし」
エヴァンジェリンは面倒臭いと思いながらも記憶を探り、ニヤリと笑う
「茶々丸、この付近に手の平サイズの生物は居るか?」
茶々丸は少しの間だけ沈黙し
「昆虫でも宜しいのなら、マスターの後ろの草叢に居ますが」
と言った。エヴァンジェリンは嫌な顔一つせずに、草叢に手を突っ込み何かを捕まえた。捕まえたソレは
「蟷螂か・・・まぁ此れでも問題は無いか」
と言い。蟷螂にホンの僅かな魔力を纏わせ、レギオンに投げつけた。するとレギオンは引き寄せられるかの様に蟷螂の中に入り込んだ。茶々丸は、そのまま蟷螂ごと何所かに封印するのかと思ったが、違うという事に気づいた。何故ならレギオンの入り込んだ蟷螂が膨張し二m程の化け物に、変貌したからである。
「実態が無ければ与えてやれば良い。殺さない限り奴は出てこれない、折角の魔力を生成出来る肉体を得たんだからな。魂は精神に影響を及ぼし、精神は肉体に影響を及ぼす・・・まあ逆な事も在るが・・・兎に角、奴を殺さず生かさずの状態で止めれば私達の勝ちだ。」
ブン!!
蟷螂の形をした化け物は鎌をエヴァンジェリンに向けて振った。虫だった頃の機敏な動きでの急接近を、余裕を持って二人は避けた。蟷螂はエヴァンジェリンの方を振り向き、再び急接近し鎌を振り上げるがそれも避けられる。後はソレの繰り返し、時折エヴァンジェリンは蟷螂の攻撃を利用し蟷螂を転倒させ、鎌を?ぎ、傷口に魔法薬の入った試験管をぶつけて凍らした。茶々丸は、足の関節を連続で攻撃し潰していった。数分もすると蟷螂はダルマの様に転がっていた。エヴァンジェリンは動けず、攻撃も出来ない蟷螂の体に手を当て暫くして言った。
「ふむ・・・・やはり西の奴らが作った物か・・・しかし、雑だな私が始末した者意外も混ぜたな。集団が集団として機能仕切れていない」
エヴァンジェリンはつまらなそうに後ろ向き言う
「遅いぞ」
現れたのは神鳴流剣士、桜咲刹那。刹那は「すみません」と頭を下げ
「これは・・・・私は必要無いのでは?」
と言った。エヴァンジェリンは蟷螂がどういった物かを刹那に説明し、その場を後にした。
刹那は
「何回、斬魔剣・弐の太刀を使えば良いんでしょうか?」
と言い。取り合えず魔の気配が無くなるまで使うことにした。
一時間もすると、蟷螂は元の大きさに戻り動かなくなっていた。刹那はソレを確認すると寮へと帰っていった。誰も居なくなった森に小さな声が響いた。
「エヴァン・・・・ジェリンンンン〜」
災厄の種は生き残った。