Fate / open the demonbane

 

第28話 「後遺症…」

 

 

 

「むぅ、何で居間で寝てるんだ?」

 

朝、目を覚ました士郎の第一声はそんな言葉だった。

 

「……ああ、そう言えば昨日、イリヤ達に面白半分でウォッカの一気飲みなんかさせられて、酔い潰れたんだったな……」

 

記憶を遡らせるが、士郎自身はそれ以上の記憶が無い為、そのまま居間で寝てしまったと判断した。

 

「ふぅ……。 全く、他の連中は何処に行ったんだか、片付けもせずに」

 

起き上がると士郎は散らかっている居間の片づけを始める。

どうやら、昨日の事は記憶に無いようだ。

 

「おはよう、士郎」

 

昨日、被害を免れたエンネアが起きて来た。

 

「エンネア、おはよう。 ところで他の連中は如何したんだ?」

 

散らかった居間に士郎が1人だけだったと言う違和感。

本来なら他の人達も酔い潰れている筈なのだが、それが無いと言う事。

酔い潰れていない人物が1人居て、その人物が他の人を運んだならば士郎1人がここに居るのは不自然であった。

 

「えっと〜、他の皆なら道場の方で寝てたよ」

 

「……道場で? 2次会でも開いてたのか?」

 

疑問を抱く士郎。

 

「さあ? エンネアも昨日は早く切り上げたから知らないよ?」

(まあ、十中八九『黒士郎』のお仕置きが関係してるだろうけど……ね)

 

まあ、ウソは吐いていないエンネアだった。

 

「全く、あいつ等は片付けもせずに……。 悪いけどエンネア、片づけを手伝ってくれないか?」

 

「うん! 良いよ、士郎!」

 

眩しい笑顔で答えるエンネア。

 

(1ポイント、リードだね。 ……クス)

 

考えている事は黒かったが……。

 

 

 

 

 

一方、道場では……。

 

「御免なさい。 御免なさい。 御免なさい。 もうしません。 もうしません。 もうしません」

 

涙目で士郎の幻影に謝る『うっかり魔術師』。

 

ブツブツ、ブツブツ……………………イヤー、止めて下さい! お願いします、せんぱーい!」

 

士郎のお仕置きがフラッシュバックしている『腹黒魔術師』。

 

「あ、あれが士郎。 ウソよ、信じられないわ。 ……………ガクブル、ガクブル

 

余りの士郎の変貌振りに震えている『白い小悪魔』。

 

「シロウ、すいません。 そ、それだけは! それは食べ物ではありません! いや〜〜〜!」

 

幻影の士郎に迫られている『腹ペコ騎士王』。

 

「…………………………ブルブル。 姉様達に匹敵………ブルブル。 いえ、それ以上……………ブルブル。 ………まさか、そんな筈は!

 

何やら他のトラウマスイッチも入った『出番の少ない女神様』。

 

「士郎! ああ! そんな! ダメです♪」

 

言葉の割には、なにやら元気そうな『鉄拳魔術師』。

 

「ああ! もっと! もっとよ♪ 士郎♪ ああ……ご主人様♪』」

 

完全に逝ってしまっている『毒舌シスター』。

 

「…………………オ、オソロシイ。 アレハ、カンゼンニワタシデハナイ………」

 

何やら昨晩の件で改めて実感している『鍛鉄の弓兵』。

 

「…………………ブル。 ■■■ッーーーーー!」

 

全く太刀打ちできず、未だにその呪縛から逃れられぬ事を悔やんでいる『大英雄』。

 

 

 

この様に、黒士郎の降臨はメンバーの心に致命的な『モノ』を植え付けたのであった……。

因みに、今回の黒士郎降臨の一番の被害者は………。

 

 

 

「…………………………ビクン。 …………………………ビク。 ……………こ、殺してくれ〜〜〜! もう、お仕置きは〜〜〜! バタ………」

 

言うまでも無く、『青い全身タイツ姿の槍兵』であった。

彼に幸福が訪れる事はあるのか!?

まあ、可能性は限り無く低いだろうが……。

 

 

 

 

 

場面は変わり、朝食の時間へ。

 

「おい、皆。 一体如何したんだ?」

 

士郎は生気無い顔をしている、お仕置き組に声を掛ける。

 

ビクッ!

 

「なっ! なんでも無いわよ士郎!」

 

「そ、そうです、先輩! 私達は何ともありませんよ!」

 

「シロウ! ち、朝食にしましょう!」

 

「う、うん。 私も早く食べたい!」

 

声を掛けられた人物達は露骨に動揺している。

 

クス………」

 

カレンは別だったが……。

 

「其れなら良いけど……。 それにしても、今日は藤ねえ遅いな……」

 

何時もは居間について一緒に食事を取っている筈の大河が、今日に限って遅刻している。

 

「大雨にでもならなきゃ良いんだが……」

 

士郎は快晴の空を見ながらそんな事を言った。

そんな中、士郎は玄関の開く音が聞こえた。

 

「ああ、やっと来たか」

 

ドタバタと誰かが走ってくる音がし、居間の障子がズバンと開かれた!

 

「あれ?」

 

士郎が大河だと思って人物は大河ではなく、藤村組の1人であった。

 

「え、衛宮の若旦那! て、ていへんです! お嬢が! お嬢が! 攫われたんでさ!

 

なっ!

 

その言葉に衛宮家に衝撃が走った……。

 

 

 

 

 

【どうも、2ヶ月ぶりの更新となりました。 さあ、攫われた大河! 攫った人物とは? 目的は? 謎を呼ぶ展開! 次回を待て! です♪】