Fate / open the demonbane
第17話 「会議…」
「さてと、それじゃあ聖杯戦争も終わりに近づいてきたみたいだし、残りの2人の対策でもしようか」
「というか、サーヴァントが、まだ誰も脱落していないのに、もう終盤に近いだなんて異常よ!」
まあ、凛の言うことももっともだ。
「それはおいといて、残りはイレギュラークラスじゃなければ、アサシンとキャスターだ」
「そうですね、キャスターらしきサーヴァントの位置はおそらく、あの柳洞寺でしょうが、アサシンとなると発見が困難です」
「それじゃあ、先に柳洞寺に攻め込むって事でいいわね」
凛が周りを見渡しながらそう言う。
「ええ、問題ありません」
「わかりました姉さん」
「いいんじゃないかしら」
「そうですね、それが現状ではベストですね」
「それじゃあ、柳洞寺に攻め込むメンバーを決めようか、いく気のある人は手を上げてくれ」
俺がそう発言すると、非戦闘員を除くメンバー全員が手を上げる。
「エンネア……、お前は残っていてくれ……」
「え〜〜! なんで? 士郎の横暴!」
「当たり前だろうが! エンネアが行くと辺りの被害がバカにならないんだよ!」
俺の言葉に、エンネアの実力の一端を知る、バゼットとカレンは同意する。
「そうですね、貴女はここに残っていた方が良い」
「そうね、あたり一面を焼け野原にしてしまいかねないし」
そんな2人の発言に残りのメンバーは少し引いている。
「まあ、対魔力の関係からいって、キャスター戦にはセイバーは欠かせないから、後は遠距離の攻撃ができる人と、補助に回れる人が良いわね」
凛が皆にそう提案する。
「そうですね、正論です」
「それじゃあ、イリヤさんとバーサーカーは除外ですね。姉さん」
バゼットと桜が賛成する。
「ち、ちょっと、なんでそうなるのよ!」
「当然です。 イリヤスフィール、貴女のバーサ−カーは、先ほど凛が言った条件を満たしていない」
「そうです、敵のホームグラウンドで戦うんですから、大抵の魔術が効かないセイバーさんを主軸に置くのは当然です。 バーサーカーでは協力しあうことはできないでしょうし」
イリヤの反論を徹底的に潰す2人。
「む〜〜! わかった、私とバーサーカーは家で待っているわ」
「それじゃあ、残りの二組を決めましょうか、桜、バゼット」
「そうですね、姉さん」
「いいでしょう」
3人の間に、なんともいえない雰囲気がある。
というか、いつの間にか俺たちが行くの決定になってる?
反論はないけどさ、意見ぐらい聞いてほしいよな……。
はあ〜〜〜。
「まあ、遠距離攻撃は、アーチャーで決まりよね」
「ちょっと待ってください、姉さん。 私のライダーも遠距離攻撃の手段はあります!」
「ええ、そうね。 でも、それは常時使用できるのじゃないでしょ、その点アーチャーは遠距離の専門じゃない」
「で、でも、アーチャーさんは短剣を使った接近戦を主軸にしているじゃないですか」
まあ、桜がそう言うのもわかるな、アーチャーのクラスらしからぬ攻撃を得意としているしな。
ランサーと戦っていたときだって、弓を使わず、双剣で対処していたし、バーサーカー戦での弓はあまり目立つような攻撃でもなかったからな。
「それは誤解だな、確かに私は普段は『干将』『獏耶』を使った接近戦をしているが、決して弓が不得手だからと言うわけではない。 弓に専念させてもらえば、アーチャーのクラス名に恥じぬ狙撃ができる」
「う…、わかりました。 だったら、補助の役目は「ランサーが適任でしょう」え?」
桜の言葉に割ってはいる、バゼット。
「桜のライダーは、宝具や固有スキルが強力なタイプの英霊であり、さほど戦闘経験をつんでいる様には見えません。 援護するとなると、それ相応の技術が要求されるはずです。 それに加えて、ランサーは魔術も使えますので、補助に回るには何の問題もありません」
淡々と説明する、バゼット。
「え、えっと。 ライダー貴女から何かないの?」
「いえ、サクラ。 バゼットの言葉は正論です。 私の能力は広範囲に影響しますから、1対1の勝負ならともかく、補助にはむいていません」
「そうだな、『クー・フーリン』ならルーン魔術を使えるから、補助に回れる上に前衛にもそのまま出れるから、適任だろう」
アーチャーの何気ない一言が、居間に響いた。
「いつ、気がついたのですか?」
バゼットがアーチャーに質問をする。
当然だった、自分のサーヴァントの真名を、どうやって知ったのか気にならない訳がなかった。
「なあに、最初に戦ったときに大体の見当は付いていた。 あれ程の槍の使い手は、それほど居まい、それに加えて獣のような素早さを持つとなると、自然に限られてくる。 その上魔術が使用できるとなると、答えはおのずと出てくるよ」
「そうですね、有名すぎるのも考え物です」
頭を抱えながら、バゼットはため息をつく。
「ねえ、士郎。 これで柳洞寺に行くのはセイバー・ランサー・アーチャーの3組でいいわね」
笑顔で聞いてくる、凛。
反対しても、どうせ押し切ってくるはずだ。
「ああ、正論だし、特に反対する理由はないよ」
「それじゃあ、今夜攻め込むわよ」
「ああ、わかった」
こうして今夜、柳洞寺に攻め込むメンバーが決まった。
夜、準備をしている所に突然エンネアが尋ねてきた。
「士郎、調子はどう?」
「ああ、大丈夫だ」
「ふ〜ん。 じゃあ、『あれ』は?」
「だいたい7割って所だ」
「そうなんだ、思ったよりも早いね」
「そりゃあ、そうさ。 九郎兄さんが俺の為だけに作ったものだ、俺が持っていればそうなるさ」
(少しの間だけど、実体化するのはもう可能だしな)
「まあ、そうだけど……。 士郎も十分非常識な存在になってきてるよ」
呆れ顔で、俺に言うエンネア。
「そうかもしれないけれど、それをエンネアに言われるとな〜」
「それもそうか」
くすくすと笑い返す、エンネア。
「まあ、大丈夫だとは思うけど気をつけてね、士郎」
心配してくれるエンネア。
「ああ、ありがとな。 家のほうを頼むな」
「うん。 任せといてよ」
胸を張って答えるエンネア。
「行って来る」
そう言って、俺は部屋から出た。
目指すは柳洞寺。
【お久しぶりです。 更新が遅くなってしまい、申し訳ありません。 今回は、士郎の切り札である、●●●について少し触れてみました。 分かる人には、もうどんなものか予想はついているとは思いますが、まだまだ秘密とさせていただいています。 次回は、Fate and Zeroと一緒に出す心算です】