Fate / open the demonbane

 

第11話 「教会へ…」

 

 

 

「凛。 そろそろ本題に入りたいんだが良いか?」

 

いまだに装備類をあさっている凛に、話しかける。

 

「え? ……あ! も、もちろんいいわよ」

 

物色をやめる凛。

 

「それじゃあ、敵で現在わかっているのはバーサーカー1人だけ、あとは今回、イレギュラークラスが混じっていなければアサシンとキャスターになる」

 

「ふむ、そうですね」

 

「キャスターについては心当たりがある」

 

「なにがですか先輩」

 

首をかしげる桜。

 

「ああ、昨日ニュースで意識不明者が大勢でているって言っていた。 その大規模な魔術から見ておそらく、キャスターだろう」

 

「そうね、でもそれだけの魔術を行使するにはよほどいい霊脈をおさえておかないといけないわよ。 私の家の他には教会ぐらいかしら? でも、そんな訳無いわよね」

 

(は〜、やっぱりどこか抜けてるな凛は)

 

「いや、もう一つある。 柳洞寺だ」

 

「え? だってあそこ力を持った僧なんていないし、そんなとこにマトモな霊脈なんてあるの?」

 

凛の奴は、やっぱり自分の思考だけで行動する節がある。

 

「あのな、柳洞寺は歴史のある寺だし、大聖杯があるのだってあの地下だぞ。 第一この冬木市で一番の霊脈だぞ」

 

俺は呆れながら凛に言う。

 

「え! うそ!」

 

「本当だ。 第一、大聖杯の作成には遠坂の当主も手を貸していたんだろう。 記述なんか残っていなかったのかよ」

 

「え〜っと、聖杯を手に入れるのには関係ないと思って調べていなかったりして」

 

皆がいっせいにため息をつく。

 

「そうですね、シロウ。 あそこは根城にするには最適だ。 我々サーヴァントの様な霊体に対する結界があり、無理に入ろうとすればこちらの能力の低下はまぬがれ無い」

 

セイバーの言った言葉にランサーが噛み付く。

 

「おいおい、そしたら敵さんもヤバイんじゃ無いのか」

 

「いえ、正門には結界がはっておらず。 そこからなら自由に入れます」

 

「そうか、全部を覆ったら中がゆがんだ空間になったりするものね」

 

セイバーの言葉から的確な答えを出す凛。

 

「しかし、キャスターは現在莫大な魔力を蓄えているのではないのですか?」

 

ライダーが新たなる疑問を提示する。

 

「そうだな、はっきりとした情報を得るまでは無闇に柳洞寺には行かないほうがいいな」

 

アーチャーが柳洞寺に対しての方針を示す。

 

「ふむ、一理ありますね。 無闇に突撃する必要は無いでしょうし」

 

バゼットもそれに賛成する。

 

「まあ、推測の域をまだ出ていないからな、それでいいと思う」

 

俺も同意する。

 

「アサシンについての情報がないから、とりあえず教会の方に行って見ましょうか」

 

現状を見て凛がそう答えた。

 

「確か今回の協会の監視役は……」

 

「ああ、私たちの兄弟子でね、言峰 綺礼って奴よ」

 

「ああ、……わかった。 行こうか」

 

「そうですね、先輩」

 

「私はもう挨拶はすませましたから、3人で行って来てください」

 

「わかった、バゼット。 留守番をよろしく頼むな」

 

「はい」

 

バゼットに留守を任せ、俺たちは教会へと向かう。

 

 

 

しばらくして、俺たちは新都にある教会についていた。

丘の上にそびえたつ教会は、何処となく世の中から隔離された感じが受ける。

 

「それじゃあ、セイバーはココで待っていてくれ」

 

「はい、シロウ。 お気をつけて」

 

「ああ」

 

「さっさといくわよ、士郎」

 

そう言ってせかす凛。

 

「ああ、今いく」

 

こうして俺は初めてこの教会の門をくぐった。

 

 

 

「綺礼、いないの?」

 

「なあ、凛。 お前から見て、その言峰って奴はどんな感じなんだ?」

 

「一言で言うなら、すっごくいやな奴よ。 悪党じゃなっくって悪人っていうのがぴったりな奴」

 

「ふむ、ほめ言葉として受け取っておこう」

 

「な! いつからそこに居たのよ綺礼」

 

「ついさっきだ。 人が来た気配があるので、出てきたのだよ」

 

「ふん! そう、一応マスターとしての登録をしに来たわよ」

 

「そうか、桜の方はともかく、お前が来るとはいささか驚いたが、そちらもマスターか?」

 

言峰は俺を見ながら聞いてくる。

 

「ああ、そうだ。 衛宮 士郎 セイバーのマスターとして、今回の聖杯戦争に参加する」

 

言峰が驚愕の表情を作る。

 

「衛宮! ……そうか、喜べ少年、君の願いはようやく叶う」

 

「何がだ?」

 

「正義の味方には、常に相対する悪が必要となる」

 

「ふん、そうだな。 俺はアンタを倒さないといけないな」

 

「ふむ、私は監視役だ。 直接の関係はないはずだが?」

 

とぼけた顔で聞いてくる、言峰。

 

「どうだかな。 アンタ、絶対裏でなんか取り組んでそうな奴だ」

 

「どうして、そう思うのだ?」

 

「アンタは、親父に似ている一面がある。 だけど、対照的でもあるからだよ」

 

「そうか、私とあの男がある一面で似ているというのは認めよう。 そして、確かにあの男とは対照的でもある。 私は欠陥品だが、あの男は自ら、私の欲していたものを捨てる様な奴だったからな」

 

「はん、親父は自分のした行動に常に責任と後悔を背負っていたが、アンタはそんなのはないだろう。 アンタに今、身内がいないのが何よりの証拠だよ」

 

「そうだな、私は生まれてくるモノには等しく祝福をするがその後はあまりにも無頓着だ」

 

俺たちの言い争いに凛と桜が割って入ってきた。

 

「ちょっと何をいい争いしてるのよ」

 

「そ、そうです。 2人だけで何を分かりきっているんですか」

 

「気にするな、私はこいつの父親である、衛宮 切嗣とは敵だったからな。 こいつとも気が合わないのは当然ともいえよう」

 

「そうだな、邪魔したな」

 

「ち、ちょっと!」

 

そう言って、俺は凛の静止を振り切り教会を後にする。

 

 

 

しばらくして、凛たちも教会から出てきた。

 

「先輩、いったいどうしたんですか?」

 

「ああ、心配かけたか桜」

 

「いえ、そういう訳じゃないんですけど」

 

「はあ〜、まあいいわ。 士郎これからどうするの?」

 

「皆、俺はイリヤの所に行く」

 

その言葉に他の全員が驚いたようだ。

 

「な! なにいってんのよ士郎。 あんた死ぬ気?」

 

「そうです、シロウ。 アナタは確かに強いかも知れませんがバーサーカーを相手にするには不安があります」

 

「いや、イリヤについては俺が決着をつけないといけない相手だ。 悪いが結構派手な戦いになるかも知れないので、俺とセイバーだけで向かおうと思う」

 

「先輩、なおの事、皆で行った方がいいです」

 

「そうよ」

 

桜と凛が反対してくる。

 

「頼む」

 

そういって、頭を下げる俺。

 

「ああ、もう分かったわよ、アンタのことだから言い出したらきかないし」

 

「…わかりました。 でも、先輩。 危なくなったらスグに逃げてくださいね」

 

「わかった。 出来る限り善処する」

 

しぶしぶと認めてくれる、2人。

 

「士郎。 絶対に生きて帰ってきなさいよ」

 

凛も俺を心配してくれているようだ。

 

「ああ、当然だ。 それじゃあ留守はよろしくお願いしますよ」

 

そういって俺とセイバーはイリヤの居るであろう森へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

【次回、激突する『剣錬の魔術師』と『大英雄』、はたして勝つのはどちらか。そして……】