Fate / open the demonbane

 

第8話 「説明…」

 

 

 

夢を見ている、1人の少女の物語だ。

少女は王になる、これまでの人生を捨てただ国の為に1人の王になる物語だ。

 

少女は剣を抜く、魔術師からそれを抜けば人で無くなると言われても剣を抜く。

少女は剣を抜き、王となった。

人であることをやめ、ただ国の為に王となった。

 

王は立派に王者としての務めを果たしていった。

しかし、それは周囲から理解の無い役割だった。

 

王は多くの民の為に、少数の民に犠牲を強いた。

それが一番最良の方法だと分かっていたからだ。

だが、それは理解されない、騎士たちにとって王の方法は理解しがたいものだったのか。

 

王は国の為に最後まで戦い、戦い続けやがて力尽きる。

そのとき王は、少女は思ってしまった。あの時自分ではなく他の……。

 

 

 

「ん〜」

 

「マスター。 気がつきましたか」

 

その声に俺の意識がはっきりとし始める。

 

「ああ、セイバー。 ココは?」

 

「マスターの家です。 リンたちに協力してもらいココまで運んでもらいました」

 

「そうか」

 

俺が気がついたのがわかったらしく、凛たちが聞いてくる。

 

「士郎、気がついた」

 

「先輩、大丈夫ですか」

 

「ああ、心配かけてすまない」

 

いきなり、凛が俺の前に立つ。

 

「ねえ、士郎」

 

「な、なんだ」

 

凛の声に俺の中の何かが危険をうったえる。

 

「色々と、説明してくださるかしら」

 

めが『とっと話さんか、こら』といっている。

 

「ああ、わかった答えられる事ならな。 だったら居間のほうに行こうか」

 

 

 

 

「で、何から聞きたいんだ?」

 

「先輩、ノーデンスってどんな組織なんですか?」

 

遠慮がちに聞いてくる桜。

 

「ああ、ノーデンスは基本的には退魔組織といっていい。 【構成員】と【幹部】それに【上級幹部】の3つの階級に分けられている。 【構成員】は基本的に情報収集員が多く、魔術自体を使えない人も多いが何人か戦闘要員もいる。 【幹部】は7人いて、それぞれの得意分野を持つ。 だいたい、外に広まっている噂の類はココから上の人のものだ。 【上級幹部】は4人いて、1人はスポンサー的な役割をしていてるが、一般的な魔術師よりも腕は上だな。 そして、残りの3人これは人外といってもいいぐらい強い。 んでもって、幹部会の意見と、上級幹部4人の意見の多数決で組織の方針を決めている。 ってとこかな、他に聞きたいことあるか?」

 

「えっと、先輩は構成員なんですか?」

 

「俺? 俺は一応【幹部】だぞ。 戦闘要員と技術者をかねている」

 

「へえ〜、…って!士郎。 幹部って本当に?」

 

信じられないらしく、凛があらためて聞いてくる。

 

「ああ、そうだぞ」

 

それまで黙っていたバゼットが口を開いた。

 

「間違いないでしょう。 そうでなければ、あの青崎姉妹の喧嘩など止められるはずがありません」

 

「「え? えええ〜〜〜〜〜!!」」

 

驚きの声を上げる凛たち。

 

(まあ、そうだよな。 我ながらよく止めれたと思うぞ)

 

「で、他に聞きたいことは無いのか?」

 

「ふむ、では今回の依頼人は誰なのですか士郎? 大聖杯の破壊を頼むほどです、よほどの人物のはずですが?」

 

バゼットの質問にセイバーが反応する。

 

「な、マスター。 聖杯を破壊するのですか!」

 

驚きの声を上げるセイバー。

 

「ああ、言っていなかったなセイバー。 この冬木市にある聖杯は汚れていて破壊による願望器になっているんだ。 もはやあれは聖杯と呼べる代物じなくなっているんだ。 だから、前回君に親父は聖杯を破壊させたんだ」

 

「な! 前回の聖杯戦争のことを、キリツグのことを知っているのですか」

 

「ああ、まだ自己紹介がまだだったなセイバー。 俺は衛宮 士郎、切嗣の義理の息子だ。 君のことは親父の残した日記で知っている」

 

「え! 先輩のお父さんって」

 

「ああ、前回の聖杯戦争の勝者だ」

 

バゼットが話しに割ってはいる。

 

「世代的に見たら、あなたたちは知らないかもしれないが、衛宮 切嗣といえば協会でも一目置かれていたフリーランスの魔術師です」

 

「話がそれたな。 セイバーそういう訳で、今回は協力してくれ」

 

真剣な顔のセイバー。

 

「わかりましたシロウ。 私は貴方の剣です。 協力します」

 

「ふむ、話はまとまりましたね。 では士郎、先ほどの質問を答えてください」

 

改めて問い詰めてくるバゼット。

 

「まあ、協力者だし、依頼関しての黙秘なんかは言ってなかったしな」

 

(それに、これ位言っても、ばちは当たらないか)

 

「今回の依頼人は『キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ』通称『魔道元帥』だぞ」

 

「「「な!!」」」

 

凛や桜はともかく、あのバゼットまで驚いていた。

まあ、そうだろうな、現在残っている数少ない魔法使いだしな。

 

「ちょっと、大師父ですって!」

 

驚きの凛。

 

(当然か大師父の家系だしな)

 

「ああ、ここに大聖杯を作るときに関わっていたからな。 その関係だよ」

 

「はあ〜、もういいわよ」

 

あきらめ顔の凛。

 

「小僧」

 

突然、アーチャーから声がかかる。

 

「バーサーカーを倒したあれはなんだ。 私は古今東西の剣に詳しいが、あんな短剣は知らない。 いや、あれはこの『世界』のものではないな」

 

アーチャーの問いに驚いた。

それと同時に、アーチャーの正体がなんとなくわかった。

あれが、この『世界』の力ではないと『解析』できるのだから。

 

「ふ〜ん、アーチャーそれに関しちゃ黙秘させてもらう。 師匠に余り(今は)使うなっていわれているんでな。 知られると少しまずい」

 

それに凛が割ってはいる。

 

「ちょっと士郎」

 

「ん、なんだ凛」

 

何かたくらんでいる顔の凛。

 

「ねえ、ここはセカンドオーナーは私で、貴方は許可なしでココにいるのよ、教えてくれてもいいじゃない」

 

『早く教えろ』と、目でうったえている。

しかし、そうは問屋がおろさない。

 

「ふ〜ん、残念だな凛」

 

「何がよ」

 

「ココに俺が住んでるのはファーストオーナーである、時計塔の上層部知っていて、なおかつ黙認している」

 

「な、なんでよ!」

 

怒鳴る凛に対して、冷静なバゼット

 

「当然ですね、時計塔の上層部もノーデンスには多くの借りがある。 その幹部となればその位便宜は当たり前のはずです」

 

「あ!」

 

凛の奴、俺がノーデンスの【幹部】だってこと忘れてたな。

 

「というわけだ。 まあ、必要になったら教えるさ」

 

 

 

小僧をみていてあらためて思う。

(ふむ、師匠か。 そいつがこの衛宮 士郎の変化に関係しているのか? しかし、もうこの世界では私の望みは叶わないかもしれないな)

 

 

 

「それじゃあ、今日はもう遅いから明日、細かい方針を決めて行こう」

 

そいって、夜は更けていく。

 

 

 

【さて、どのようにこの聖杯戦争が進むのか乞うご期待…して下さい】