Fate / open the demonbane

 

第3話 「学校…」

 

 

 

私、美綴 綾子が衛宮 士郎と初めて会ったのは、入学当初の弓道部だった。

私は、自分で言うのもなんだが特技は武芸全般、だからこの学校で盛んな弓道部に入ってみようと思ったのだ。

そこで私は、衛宮 士郎と初めて出会うことになった。

私は自分の弓の腕前に結構自信を持っていたのだが、士郎の弓を見てなんって綺麗なんだと思ってしまった。

 

次の日から私は勝手に士郎の事を自分のライバルだと決め付けた。

士郎のあの弓に勝ちたい。

それだけを目標にただ練習を繰り返す日々が続いた。

一度、士郎の奴にどうして弓がそれほど得意なのか問い詰めたことがあったが、あの時あの馬鹿は

 

『ん〜特別もなにも、ただ的を狙い、当てることを強くイメージするだけだぞ』

 

なんてほざきやがった。

それから、さらに練習を繰り返し、いつの間にかあいつの事を考える事が多くなってきたのを自覚するのにさほど時間がかからなかった。

自覚して、それが初恋だと、気づいた時にはもう遅く、何かと理由をつけては士郎の家に入り浸るようになっていた。

 

本当に士郎はもてるくせに凄く鈍感だ!

私がそれとなくアプローチしても気づかないし、親友の凛や、後輩の桜、その他大勢の女生徒に好意を寄せられているのに、まったくといって気づいている様子が無い。

 

(は〜、なんでこんなに好きになっちまったんだろうね〜)

 

一緒に登校している男を睨み付ける。

 

(まあいいさ、絶対に士郎を私の方に振り向かせてやる)

 

もう一度士郎の方を見つめて

 

(覚悟しろよ、士郎)

 

 

 

精神を落ち着け的を見て、弓を引く。

それが当たるイメージを作り出す。

師匠から俺の魔術はイメージを常に怠るなと教えられてきた。

ゆえに、自分の思い描くように弓を引き、矢を放つ。

打つ前からすでにこの矢が当たることは決定している。

 

ドス

 

弓から放れた矢は、的のど真ん中に命中する。

 

「先輩!やっぱり凄いです」

 

桜が駆け寄ってくる。

 

「ホント、いい腕だよ。 士郎あんたロビン・フットの生まれ変わりかい?」

 

茶化すように綾子も言ってくる。

 

「2人とも、ソロソロ授業が始まるから片付けるぞ」

 

「はい」

「わかったよ」

 

 

 

部活を終えて、教室に入ると一成が話しかけてきた。

 

「うむ、衛宮。 今日の放課後は暇か?」

 

一成がそう聞いてきたので俺は今日の予定を思い出す。

 

「いや、今日はバイトが入ってるぞ」

 

一成が少し肩を落とす。

 

「…そうか」

 

「どうかしたのか?」

 

「いや、幾つかの器具が使えなくなったと報告があってな。 衛宮に一度見てもらおうと思ってな」

 

(そういうことか)

 

柳洞 一成 成績優秀な、現生徒会長で、俺の友人。

生徒会の運営で運動部たちとは対立関係にあるといってもよい。

凛を天敵としており、会うたびに対立を繰り返している。

今回のように俺は度々一成に頼まれ学校の備品の修理をしたりしている。

 

「明日なら、時間があるぞ。 一成」

 

「そうか、では明日頼む」

 

ちょうどその時に、チャイムが鳴り響き俺達は自分の席へつく。

すると、廊下からすさまじい勢いでドアを開け人がはいてきた。

 

「セーフ」

 

が入ってきたとたんに転んでしまい、頭を教壇にぶつけた。

 

ドカン

 

しばらくピクピクと痙攣し、そして動かなくなる。

その様子に周りの生徒たちが騒ぎ始めた。

 

「おい、マジやばくねえか?」

 

「大丈夫だろう、藤村先生だし」

 

「でもさあ、このままにしておくってのもなあ〜」

 

「だったら、お前がやれよ」

 

「ゲ!断る!」

 

そういって、周りの生徒が俺を見る。

(はあ〜、仕方がないか)

 

未だに倒れて動かない藤ねえに近寄り、俺は一言大声で言った。

 

「起きろ〜〜、このバカ タ イ ガ ー !

 

すると、藤ねえはその言葉に反応した。

 

「タイガーっていうな〜〜!」

 

後ろにトラのオーラを出しながら、すさまじい音量で吼える。

吼え終わると、急にキョロキョロ辺りを見回し

 

「あれ? ほら、何してるのみんな席について」

 

周りの生徒たちが小声で

 

「おい、さっきの事覚えてないみたいだぜ」

 

「ラッキーじゃん」

 

(はあ〜、まったく藤ねえは〜)

こうして、俺たちの授業は何事もなく進んでいき、放課後になった。

 

 

 

 

【次回、もうすぐ始まる聖杯戦争!】