乙女日記A
【〇月□日 曇り 今日はキャスターさんの所へ相談しに来ていました。 ですが、意気地の無い私は相談したいことを話し出せず、取り留めの無い世間話 ばかりをしていました。 「もーそこの大判焼きが美味しくてついつい食べすぎちゃうんですよー。」 魔「そう。それじゃ私も今度宗一郎様と食べに行ってみようかしら。」 キャスターさんは私の話の腰を折る事なく「そう。」とか「ええ。」とか言いな がらきちんと聞いてくれます。 私もいつかこんな女性になれたらいいなぁ。 魔「で、あなたは何か相談したくてここに来たんじゃないの?」 それまで聞いてくれていたキャスターさんは突然言いました。 魔「あなた話している最中もあまり気が入ってなかったわ。推測するのも容易。 」 …やっぱりキャスターさんはすごいです。 全部お見通しのようです。 「あの…その…実は私には好きな人がいて…どうもうまく想いが伝えられないん です。あ、会話が全くないって訳じゃないんですよ?一応アプローチとかもして るのにその人気付いてくれなくて…。」 魔「…そう。坊やも困ったものね。」 「それにあの人はすっごくモテるんです!もう私なんて見えてないんでしょうか …。」 魔「そんな事無いと思うわ。二日前に商店街で会ったときも『これ桜好きだから 桜へのお土産なんだ。』って照れ臭そうに大判焼きを買ってたわよ。」 「え…でも先輩私にお土産なんて買ってきてくれた事無いですけど…」 魔「あら?確かに言ってたんだけど…。」 二日前…あぁ。確か藤村先生とセイバーさんがなんか焦ってたなぁ。部屋の隅っ こで『ごめん…桜…守れなかった…ブツブツ』って落ち込んでる先輩も見かけた し…そういうことか…。 「すみませんキャスターさん、用事出来たので帰ります。」 魔「そ、そう?でもあなた相談したいことがあるんじゃ…」 「いえ、再優先で今すぐ殺らなくてはいけないことができてしまって。」 そうか、虎とライオンか。 あの時に気付くべきだった。 まぁとりあえず帰ってから…で、いいか。 魔「あ、ちょっと待ちなさい。これきっと役に立つわ。持って行きなさい。」 と、渡されたのは一冊の古びた本でした。 「ありがとうございます、では失礼します。」 帰りがけに少しずつ読んでみました。 …やっぱりキャスターさんはなんでもお見通しのようです。 《メディちゃんの拷問テクニック百選》 タイトルは気になるけどすっごく為になる本でした。 …先輩の家についたら早速載っていたものをいくつか試してみようと思います。