が起こったんだ・・・」

 

士郎が森の奥に着いて最初に口に出した言葉は、在りのままを言葉に表した物だった。仕方の無い事だろう。士郎が居る場所に在るのは肉の焼けた臭いと、地面に残る人の形をした複数の焦げ後ソレも首の無い形の物や、腕の無い物とにかく全ての焦げ後にまともな物が無いのだ。この場を見て分かる事は、被害者達は西の刺客である事と焦げ後の数が約二十在る事から楓が向かった方には敵が居ない事だけと士郎が考えているとチビアンリが焦げ後に近づき

 

「こりゃあ、俺に近い物を糧としてる奴の仕業だな。恐怖の念が僅かにだが残ってるぜ」

 

と言った。士郎はチビアンリの言葉を聞き

 

「ならまだ近くに居る可能性が高いな・・・・・・そういう訳だ。刹那、警戒を怠るな、楓と真名にもそう伝えてくれ出来れば寮に集まってくれると助かるんだが」

 

とチビ刹那に向かって言った。チビ刹那この場合チビ刹那を通して刹那が言う

 

「分かりました。チビ士郎が半自立状態なので既に龍宮の下に向かわせています、時期にこちらに居るチビ龍宮を通して連絡が在るでしょう。長瀬には龍宮から連絡を伝えてもらいます」

 

士郎はチビ刹那に向かって頷き、走り出そうとして足を止めた。すでに半自立状態になっていたチビ刹那は「如何したのですか? 」と聞いてくる。士郎は森の奥の奥・・・暗闇で見え難くなっている場所を凝視しながら短く

 

「来る」

 

と言った。

すると士郎の見ていた場所が揺らめき四匹の黒い犬が咽を鳴らしながら現れた、黒犬は新しく表れた獲物に歓喜しているのか、口を開け涎を誑しながら血の様に紅い目を輝かしていた。

お互いが動き出したのは同時、黒犬は二列(前列に二匹その後ろに一匹さらにその後ろに一匹)になり士郎に向かって駆けだし、士郎は両手に夫婦剣を出し黒犬に向かって駆けた。

 

黒犬は前列の二匹が肩を狙い飛び掛り、時間を少し置いて後ろに居た一匹が咽目掛けて飛んだ。最後の一匹は顔を目掛けて高く飛んだ、士郎は上体が地面に付くのでは無いかという位まで身を低くし、左手に握った莫耶を空に向かって投げ肩目掛けて飛び掛ってきた黒犬を一匹遣り過し、もう一匹の黒犬の顎に干将を刺し、そのまま腹まで切り裂く。

そして、直ぐに振り向き干将を咽目掛けて飛び掛ってきた黒犬の下に投げその場から跳躍した。士郎の後ろに居た黒犬は目標を一瞬見失うも、他の黒犬の邪魔に生らぬようにその場に伏せる。

 

夫婦剣は互いに引き寄せあう

 

今だ、空中に在った莫耶は干将に向かって

 

黒犬の下に投げられた干将は空中に在る莫耶に向かって

 

夫婦剣は互いを引き寄せあう

 

その斜線上に障害が在ったとしても・・・地面に向かって突き進む莫耶は高く飛び上がった黒犬の頭に突き刺さり、そのまま干将に向かって突き進む。

空中に向かって突き進む干将は咽目掛けて飛び掛った黒犬の腹に突き刺さり上昇する。

夫婦剣は互いに黒犬を巻き込みながら合わさる、士郎は夫婦剣が合わさった瞬間に吐く

 

「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)」

 

眩い閃光と共に夫婦剣がその身に秘めた神秘を爆発させる。

最後の一匹となった黒犬も余波を喰らい吹き飛ばされ、木にあたり地面に横たわった。

士郎はその隙を逃さずに投影した短剣を投げ、止めを刺した。士郎は油断する事無く周囲を警戒し、自分たち以外の気配が無い事を確認すると襲って来た黒犬を見た。

 

「死骸が無い・・・だと」

 

文字通りに黒犬の死骸は無くなっていた。するとチビアンリが言う

 

「違うぜ士郎。消えたんじゃねー、戻ったって言った方が正しい」

 

「戻った? 」

 

「そうだ、ありゃ俺と似た奴の眷属みたいな物だと思う・・・・・・多分かなりの年月を生きた奴のだ」

 

「考え過ぎじゃないのか?」

 

士郎はチビアンリに言うが何かを思い出したかのように、携帯に手を伸ばした。

 

「如何したんだよ士郎、携帯なんか掛けて」

 

「いやな、まさかって事も有るだろ? だから確認の為にちょっとな」

 

プルルルル プルルルル 

 

「何か用かね? 衛宮君、ワシは今から戦時中だった時の事を思い出しながら蝋燭の火を頼りにゴハン食べるつもりなのじゃが」

 

「学園長、例の魔道書の事なのですが」

 

「魔道書? おお、ネルガルの事か? 心配せずともちゃ〜んとワシの手元に・・・手元に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アレ?」

 

「学園長まさかとは思いますが、忘れたとか言わないでくださいよ?」

 

「テヘ」

 

「テヘじゃねー!! アンタ何考えてんだ!!」

 

士郎が激昂する

 

「だ、大丈夫じゃって、アレに施した封印は並大抵のことじゃ破られる事はないから」

 

「――――今さっき西の刺客らしき者を発見した。死体でだ!! それも普通の死に方じゃない欠片も残さずに燃え尽きた物だった!! しかもそれを行ったであろうヤツの眷族らしき者に襲われた!!」

 

士郎が捲くし立てる様に言う

 

「ちょ、ちょっと待ってくれい衛宮君「その眷属らしき者」と言うのは黒い犬か蝙蝠じゃったか?」

 

「犬だ」

 

「衛宮君、直ぐに他の三人に伝えてくれ依頼の件は無しじゃ。違約金は払うから直ちに避難してくれと伝えてくれ。ワシは高畑先生に連絡する。衛宮君はエヴァンジェリンの所へ向かってくれ、奴は封印から放たれたばかりじゃから強い魔力を持つ者を襲う。ネギ先生やこのかの方は大丈夫じゃ、奴は強い魔力もそうじゃがソレよりも負の感情を好むからの。ある程度力を取り戻したら真っ先にむかうじゃろうから。すまんの、衛宮君・・・ワシの不注意じゃ出来れば足止めもたのむ」

 

学園長はそう言い通信を切った。士郎はチビ刹那に刹那の所に戻るように言い、自分の式であるチビ士郎に意識をつないだ。

 

 

 

 

 

Side エヴァ

 

「こおる大地!!」

 

「あぐっ」

 

「ふ・・・なるほどな、この橋は学園都市の端だ。私は呪いによって外には出られん、ピンチになれば学園外に逃げればいいか・・・・・・意外にせこい作戦じゃないか・・・え? 先生」

 

私は、坊やに言いながら近づく。坊やは何かを待っている様だが・・・まあ良い、これでも坊やは奴の息子だあえて策に乗るのもまた一興だろう。

 

「これで決着だ」

 

一歩

 

二歩

 

三歩

 

パシィィィィィン

 

「なっこれは!!」

 

捕縛結界か・・・なるほど、確かにこれならば私を捕まえられる。しかし、坊やは理解していない。仕方ないかもしれないがコレは「戦い」に近い「闘い」だ。殺すつもりは無いが相手殺す気で行っているモノだ。それに坊やは私が吸血鬼だという事を、正しく理解していないらしい。吸血鬼を知る物なら躊躇無く私の手足を魔法で潰すだろう。吸血鬼の利点は不老にして不死に近い存在なのだから

 

「・・・・・・やるじゃないか、正直関心したよ。捕縛結界で私を捕まえる為にここまで誘導したその頭脳には」

 

「へへーんだ。強がってもダメですよエヴァンジェリンさん、捕縛結界に捕まった彼方はもう動けませんこれで僕の勝ちです!! さあ、おとなしく観念して悪い事はやめてください!」

 

坊やは、嬉しそうに自分の勝利を宣言した。笑いが漏れそうだ

 

「坊や、一つ忠告してやろう。確かに今現在私は、捕縛結界に囚われている身だが・・・私が何の用意も無しに戦っていたと思うか? もしそう思っていたのなら覚えて置け、戦いに勝ちたいのならば常に最悪の可能性を考えて措け・・・自分が死ぬという可能性を含めてな。キサマが捕縛結界などの罠を仕掛けていることなどすでに予想済みだ!! 茶々丸」

 

私は坊やにそう言い、茶々丸に声を掛けた。

 

「イエス、マスター結界解除プログラム始動・・・解除まで約10秒ですマスター・・・・・・すみませんネギ先生」

 

「えっ嘘!! そんなのずるい!!」

 

パキ・・・パキキキ・・・パリィィン

 

ガラスが割れるような音と共に私たちを捕えていた結界が、砕け散った。坊やは慌てて呪文を唱えようとするが遅い

 

「ラス・テル「パシッ」アアッ」

 

茶々丸によって杖を奪われた。私は茶々丸から奴の杖を取り橋の下を流れる河に投げ捨てた

 

「うわーん、ひどいーアレは僕の何よりも大切な杖・・・・・・ひどいですよーエヴァさん!! 本当なら僕が勝ってたのにー ズルイですよ!! 一対一でもう一回勝負してください―――」

 

坊やはそう泣きながら言う・・・情けない・・・情けなさすぎる!! こんな事では私が満足できない!! 何より奴に対するけじめが付かない!! 付くはずが無い!!

 

ぺしん

 

「一度闘いを挑んだ男がキャンキャン泣き喚くんじゃない!! この程度でもう負けを認めるのか!? キサマの親父ならばこの程度の苦境、笑って乗り越えたものだぞ!! 」

 

坊やは、私に叩かれた頬を押さえながら「う・・・」と呻いた。私は坊やに顔を寄せて続ける

 

「だが今日は良くやったよ、ボーヤ・・・御褒美に坊やの敗因を教えてやろう。一つはさっき私が忠告したことだがもう一つある、茶々丸から作戦の直前に聞いたぞ 神楽坂 アスナをパートナーにしたそうじゃないか。敗因の二つ目はパートナーが居るのにも関わらず連れてこなかった事だ。」

 

私はそう言い血を吸おうとしたが、こちらに向かってくる気配を感じる・・・神楽坂 アスナか・・・

 

「さて血を吸わせて貰おうか・・・っと言いたい所だが「コラ―――待ち無さーい!!」・・・邪魔者がきたようだ」

 

私は坊やにそう言い離れた。すると直ぐに神楽坂アスナが坊やを抱えて隠れた。

茶々丸が阻止しようとしたが白い小動物が「オコジョフラーッシュ!! 連打!!」と叫び連続して強い光を出した。一回目の閃光で茶々丸が目標を見失い、続けて二回目の閃光で私の目が数秒眩んだ。

私に視力が元に戻ったと同時に魔力の光が上がった、光が消えるとぼうやと神楽坂 アスナが姿を現した。坊やが言う

 

「エヴァンジェリンさんコレで二対二です!! 」

 

その顔には先ほどまでの情けない表情は無く、僅かに「戦う者」の表情が在った。

そうだ、それで良い!! そうで無くては納得出来ない!! 私は進めない!! けじめが付かない!!

 

「確かに人数は同じだが・・・それで勝てるのか?」

 

「勝ちます!! 僕の今出せる全部を使って彼方に勝って見せます。そして、ちゃんと授業に出てもらいますからね!!」

 

「咆えるじゃないか? ならば勝って見せろ。中世の世より生き、真祖の吸血鬼にして魔法使いであるこの「闇の福音」にな!! 往くぞ茶々丸、第二ラウンドの始まりだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

Side 衛宮

 

真名に学園長に言われた通りに伝えた俺は、エヴァを探すため森を走っていた。

 

「士郎、あっちだ。向こうの方から黒犬と同じ魔力を感じる」

 

俺の肩に捕まっていたちびアンリが指を刺す

 

「本当か? アンリ」

 

「本当だ、俺の魔力感知能力は一般人とそう変わりないが、この陰湿な念だけは感じる。他の方向にも感じるが向こうから感じる念が一番強い」

 

アンリが言うならば間違いないだろう俺は走るスピードを上げた。

 

「アンリ、敵はどれ位の強さだと思う?」

 

アンリは少し考えてから

 

「分からねー、確かなことはサーバントよりは絶対に弱い事だけだ。小物でも長い年月を生きた奴はとんでもない隠し技を持ってる奴もいるしな、油断は出来ないぜ士郎」

 

と言った

 

「それなら大丈夫だ。戦いに措いて自分の力を過信する事は無い、師匠達に耳に蛸が出来るくらい言われたからな。もしもの時はアレを使う」

 

と俺が言うとアンリが

 

「・・・・・・士郎、言うのを忘れてたが固有結界は使えないぞ」

 

と言った。俺は驚きの余りに足を止めた

 

「固有結界が使えない?・・・・・・それは在り得ない筈だぞアンリ、俺はこの世界に来てから何度も投影魔術を使っている」

 

「違う、使えるんだけど使えないんだよ。それとこの事に関しては俺は何も言えない」

 

そう言ってアンリは黙り込んだ・・・・・・・これ以上聞いても無駄だろう俺はそう思いまた走り始めた。丁度森を抜けた頃に携帯が鳴ったので俺は走りながら携帯を取り出した、相手は学園長だ。

 

「もしもし」

 

「衛宮君、エヴァンジェリンは見つかったか? 」

 

「まだです。しかし、魔物の物と思われる魔力を発見したのでそちらの方に向かっています」

 

「そうか・・・・・・そっちの方が良いかもしれんの、衛宮君もし奴と戦う事になったとしても出来るだけ攻撃を受けるんじゃないぞい」

 

「どう言う意味ですか?」

 

「奴の炎は呪いの炎じゃ、傷を負えば炎の呪いが傷を悪化させる上に並みの回復魔法では癒す事は出来んのじゃ吸血鬼などにとっては天敵とも言える存在なんじゃよ。」

 

「分かりました。出来るだけ傷を負わないようにします。それでは」

 

俺は学園長との話しを終え携帯を切り足をさらに速めた・・・・・・文句を言いたく為ったがそんな暇は無いので我慢する。アンリの示した方え向かって一分ほど走った所で、橋が見えてきた。そこには光の矢を放ち黒犬を蹴散らすネギと、アスナを庇いながらネギを援護する茶々丸とネギを跳ね飛ばし黒き腕に腹を貫かれたエヴァがいた。

 

「エヴァ―――!!」

 

 

 

 

あとがき

 

大変遅れて申し訳御座いません・・・・binです。ホントごめんなさい

 

言い訳を一つ・・・風邪引きました、レポート終わった途端・・・・ついでに追加されました・・・レポートozu

俺は明日を生きれるのだろうか?