「ついに追いつめたぞ「千の呪文の男」この島国でな、今日こそ貴様を打ち倒し・・・・その血肉・・・・我がモノとしてくれる」

 

‘アレが昔のエヴァンジェリンさん・・・・!?姿が今と全然違いますよ―――――!!’

 

‘たしかに・・・・・・全く違うな、なんと言うか・・・・・・アダルティ?’

 

「「人形使い(ドールマスター)」「闇の福音(ダークエヴァンジェリン)」「不死の魔法使い(マガ・ノスフェラトウ)」エヴァンジェリン・・・・・・・恐るべき吸血鬼よ、己が力と美貌の糧に何百人を毒牙にかけた? その上俺を狙い何を企むかは知らぬが・・・・・・」

 

ローブで顔の見えない男がエヴァに言う

 

「諦めろ、何度挑んでも俺には勝てんぞ」

 

‘この人がサウザントマスター!? 僕のお父さん!? カッコイイ〜〜〜スゴイ!! イメージどおりですよ!! シロウさん!! 見てください僕のお父さん!!’

 

ネギが興奮しながら俺に言うが・・・・・・カッコイイって言っても俺は昔のナギを知ってるからな〜。確かにかっこよくなってるけど、絶対に罠とか仕掛けてそうだもんな〜

 

「ハッ!! 「千の剣を持つ男(サウザンド・ブレイド)紅き絶望(ディスペアーオブクリムゾン)」「剣の救世主(ソードオブメシア)と呼ばれ。最強と謳われた従者失い代わりの従者も連れていない魔法使いに何が出来る!! 行くぞチャチャゼロ!!

 

「アイサー御主人」

 

エヴァとその従者と思われる人形が駆け出す

 

「えーとこの辺だっけ・・・・」

 

「フ・・・・遅いわ若造! 私の勝ちだ」

 

エヴァの両手に魔力の光が宿るがもう一歩という距離に達しようとしたその時にナギが杖で地面を軽く叩いた

 

トン

 

ズボ!!

 

「うわぁ!!」

 

落ちた・・・・見事に落ちた。落とし穴に・・・・落とし穴には水が張ってありチャチャゼロは、何とか首を出してアプアプしている・・・・俺も落ちた事有るな〜師匠特性の落とし穴に、アレは凄かったアルト達が助けに来てくれなかったらどうなっていた事か・・・

 

‘え―――――!! そんな卑怯な!! あれ? シロウさん? 如何したんですか!! しっかりしてください!!’

 

‘・・・・・・・・・・はっ俺は何を? ネギ如何したんだそんなに慌てて’

 

‘・・・・・・・いえ、何でもありません’

 

「ふははははははははははは!! お前の苦手なものはすでに調査済みよ!!」

 

「ひいい〜〜〜〜〜私の嫌いなニンニクやネギ〜〜〜〜!?」

 

ナギが心底可笑しそうにニンニク・ネギを落とし穴に落とし掻き混ぜている・・・・・容赦ないな

 

「いっ・・・いや〜〜っやめろ〜〜」

 

「オチツケゴ主人!」

 

「あっああっあううダッダメ――――!!」

 

ボンと言う音と共にエヴァが縮んだいや元の姿に戻った

 

「わははは。噂の吸血鬼の正体がチビのガキだと知ったら皆なんと言うかな」

 

「やめろーバカ――――――ッ!!」

 

ナギはやっぱり笑いながらドポンドポンとニンニクを投げ入れる

 

「ひっ卑怯者!! 貴様「千の呪文の男」だろ、魔法使いなら魔法で勝負しろ―――――!!」

 

エヴァが言うとナギはフードを取りながら

 

「やなこった。俺は本当は5・6個しか魔法知らねーんだよ、勉強苦手でな、魔法学校も中退だ。恐れ入ったかコラ」

 

と自慢にもならない事を言った。ガンつけながら

 

‘ぼ、僕のお父さんに対するイメージが崩れていく’

 

‘げっ元気だせネギ(俺もそうだったなぁ)!!’

 

「なあ、そろそろ俺を追うのは諦めて悪事からも足を洗ったらどうだ?」

 

「やだ!! 大体、貴様に従者ができたら私たちの勝率が下がるではないか!!」

 

「そーかそーか、それじゃあ仕方が無い変な呪いをかけて二度と悪さの出来ない体にしてやるぜ・・・・丁度、麻帆良のジジイが警備員を欲しがっていたし・・・・それにアイツを従者呼ばわりしたんだ、お仕置きには丁度言い」

 

「何だ・・・・この強大な魔力は」

 

「えーと・・・マンマンテロテロ・・・・長いなこの呪文ちょっとぐらいテキトーでもいいか」

 

「やめろ!! そんな強大な魔力でテキトーな呪文つかうなー!! と言うか「千の剣を持つ男」はお前の従者じゃないのか!! 」

 

エヴァが言うとナギは

 

「当たり前だアイツは俺の従者なんかじゃねえーよ、従者の意味知ってるか? 主人の供をする者って意味だぞ? 俺とアイツの間に主従関係なんて無いし最初っから仮契約もしてないんだよ。それと、俺は男とキスするのはゴメンだ!! それにな・・・」

 

ナギは真剣な顔をして改めてエヴァに言う

 

「アイツは背中を任せられる最高の親友だ・・・・俺とアイツの間に在るのは友情と信頼なんだよ。だから、アイツの事を俺の従者呼ばわりする事はアイツへの侮辱だ・・・だ・か・ら・お仕置きの中止は認めない」

 

と言い呪文を完成させた

 

「まっ待て!!」

 

「登校地獄(インフェルヌス・スコラステイクス)!!」

 

「うわあぁぁぁぁ!!」

 

 

 

現実に戻って

 

「あっ・・・・・・ゆっ夢か」

 

「魘されていたようだが、大丈夫か? 」

 

「ひゅわぁ!! しっ士郎、何で居るんだ!?」

 

エヴァが奇妙な悲鳴? を上げて俺に言う。まあ、しかたないか俺が来た時には寝てたしネギと戦おうとしていた時も直ぐに倒れたみたいだったからな俺に気づかなかったんだろう

 

「お前の看病をしてたんだよ。俺が来た時には寝てたから気づかなかったんだろ」

 

俺がそう言うとエヴァは

 

「そうなのか」

 

と言い頷いた

 

「ネギも手伝ってくれたんだ、礼として授業に出てやっても良いんじゃないか?」

 

俺はそう言ってからネギを抱き上げた。このままだと夢を除いた事がバレるからな

 

「・・・・・・考えておく」

 

エヴァはソッポを向いて言い布団を被り直した。俺はネギを抱き上げたまま階段を下りネギを起こす

 

「ネギ、起きろ」

 

「むぅぅ〜・・・あっシロウさんお早う御座います」

 

「お早う、エヴァも起きたからもう帰ったほうがいいぞ。それと俺の事は呼び捨てにしろ、共犯者君」

 

「えっ・・・でも・・「エヴァにバラすぞ」はい、そうします!!」

 

ネギはそういうと扉を開けて帰って行った。俺はネギを見送りエヴァの夕食を作ろうとキッチンに向かおうとしたが携帯が鳴ったので外に出た。

 

「もしもし」

 

「衛宮君、賊がそちらの方に三人向かった」

 

「やっぱり動きましたか・・・・で、学園長その賊を放った人物の確保は」

 

「高畑先生に手伝って貰って直ぐに捕まえたわい」

 

「なら良いです。賊の方は如何しますか? 」

 

「チンピラ紛いのはぐれ退魔士どもじゃ、君の好きな様にすれば良いじゃろう。全、最近は刺客も無く平和だったのにのう」

 

「解かりました・・・それでは」

 

俺は携帯を切り屋根に跳び乗った。目を凝らして見ると直ぐに見つかった三人は周りを全く警戒しないで真直ぐこちらの方に向かってくる。俺はそれを確認し魔力回路に魔力を流す。

 

「投影開始(トレース・オン)」

 

黒い弓が表れる。続いて口にするのは使い慣れた言葉。しかし、込められた意味が違う

 

I am the bone of my sword(我が骨子は煉獄の灯火)」

 

「炎・螺旋剣(レーヴァティン)」

 

北欧神話に出てくる「世界を焼き尽くす剣」または「害なす杖」と呼ばれる炎の魔剣を投影する。この剣の呼び方はどちらも正しい、前者の呼び名ならばその形はまさしく剣であり後者ならば杖にも見える。なぜならばこの剣は同じ名を持つのに二振りあり意味も違うしかし、どちらも正しい。レーヴァテインは炎の巨人スルトが持っていたと記述されてはいないのでので、俺は使い手が違った為に二振り在るのだと思っている。っと三人が遮蔽物が無い所に出てきた。

 

「知らずに俺の敵になってしまった、自分達の不幸を怨むんだな」

 

俺はそう言い右手に現れた三本の螺旋剣(幅 約3センチ長さは剣より短く矢より長い)を高速で射る。

 

 

 

 

 

 

side out

 

「それにしてもこんな簡単な仕事で大金が転がり込んでくるとはなぁ」

 

「夢みたいな話だぜ」

 

「ちげーねぇ」

 

と三人の男が笑う。仮に名前を付けるならばA、B、C、としようこの三人はどの退魔組織にも属してないフリーの退魔士である。だからと言って有名であるわけでも、一流という訳でもなく退魔士としては三流と言っていいだろう。なら、なんで此処にいるのか? 答えは簡単「依頼されたから」と一言で言えるようなものだ。しかし、彼らいや彼らだけでなく一流の退魔士・魔法使いも予測出来なかっただろう、そもそも彼ら(この場合依頼人)には情報が少なすぎた。

 

「だいたい力を封印された上弱体化している吸血鬼退治なんて自分ですればいいによー」

 

と男Aが言い。男Bが言葉を出そうとした時それは起こった

 

「いいじゃねーゴッ!! 」

 

男Bが倒れた。いや地面に縫いつけられたと言った方が正しいのだろう、しかし男A・Cに状況を確認することは出来ない。なぜなら男A・Cは振り向く間も無く男Bと同じく地面に縫い付けられそれを知覚する間も無く煉獄の炎に包まれたのだから・・・・

 

 

 

 

士郎が矢を射った丁度その時、学園長室では二人の男が一人の男を縛り上げ質問をしていた

 

「それでは質問をするがいいかの? 高等部一年学年主任高峰 徹先生、おお言い忘れておったが自害は勿論魔法行使もできんぞい」

 

学園長・近衛 近右衛門が聞く

 

「何も言う事はない!!」

 

高峰が怒鳴るが近衛翁は気分を害した様子も無く続ける

 

「質問を変えようかの君は西のスパイなんじゃろ? 」

 

「・・・・・・・違う」

 

高峰は否と答えるが相手が悪かった

 

「そうか素直には言うてくれんか・・・・・まあ良いじゃろう高畑先生」

 

「はい」

 

高畑が声を出す

 

「衛宮先生が賊の排除をしているから、他の魔法先生を二人ほど連れて後片付けをしといてくれ。ワシはコレのことで少し忙しくなりそうなのでのう」

 

高畑は背筋がぞっと冷えた近衛翁の纏う雰囲気に言葉に含まれた冷たいモノに

 

「解かりました」

 

と高畑は言い学園長室を出た。二人っきりになった学園長室に近衛翁の声が微かに響いた

 

「何ぜエヴァンジェリンを排除しようとしたのかは想像できるが・・・・・・貴様が西のスパイと在っては孫にも関係あるかもしれんのでのう覚悟しておいた方がいいぞ? 人は愛しい者の為ならば幾らでも冷酷に残忍になれるものじゃからのう」

 

近衛翁は笑いながら震えている高峰に近づいて行った

 

 

 

 

side 士郎

 

俺の放った矢は三人を縫いとめ燃やし尽くした。俺は矢を放棄し魔力を霧散させ消し屋根から降りた。家に入ると何時の間にか戻っていた茶々丸が

 

「お世話を掛けます」

 

「いや礼はいいよ、仕事だしそれに」

 

「それに? 」

 

「家族を護るのは当たり前の事だろう? まだエヴァは認めてくれてないけど」

 

「ありがとうございます」

 

「だから礼は良いって」

 

俺はそう言いキッチンに向かった途中茶々丸が「手伝います」と言い二人で料理をしたエヴァはお腹が空いていたのか残さず食べてくれた、その後茶々丸がエヴァの体を拭き着替えを済ませるまでの間俺は自分の晩飯を食べる事にした。食べ終わる頃には夜の9時を過ぎていた。

 

「エヴァ、俺はもう帰るから暖かくして寝ろよ・・・・・・エヴァ?」

 

返事が無いので近づいてみるとエヴァは規則正しく呼吸をし、眠りに付いていた

 

バサ・・・・ゴロン

 

「たっく、風邪ひいてるのに」

 

俺は布団を掛け直そうと手を伸ばした。するとエヴァがパチっと目を開け言った

 

「もう帰るのか」

 

「ああ、夜も遅いし女の子の家に泊まるのもいけないからな」

 

俺がそう言うとエヴァは「そうか」と言い続けて

 

「私が寝るまでで良いから此処に居ろ」

 

と言った

 

「なんでさ」

 

「嫌な夢を見たからその・・・なんだ・・・私が眠るまでいいてっ手を握っていてほしい」

 

「クッ」

 

思いがけない台詞に笑いが出てしまった。エヴァは顔を真っ赤ににしながら

 

「仕方ないだろ!! 私は病人なんだ!! それに嫌な夢だって見たく無いんだよ!!」

 

と言った。

 

「解かった解かったからそう怒らないでくれ誰だって悪夢は見たくないしなその気持ちは解かるよ」

 

俺はそう言いエヴァの手を握った。するとエヴァは

 

「フン、私の手を握れるんだありがたく思えよ」

 

とギルみたいな王様発言をして目を閉じた。5分ほど経つとまた規則正しい寝息が聞こえ始めたので、俺はエヴァを起こさない用に手を外し一階に下りドアに手を掛けようとしたところで

 

「チョット待テヤ、家政夫」

 

「ふむ、家政夫になった憶えは無いのだが?」

 

と、突然掛けられた声に少々驚きながら答え、振り向いた。振り向いた先には人形を持った茶々丸が立っていた。

 

「茶々丸の声では無いな、すると俺に声を掛けたのは君か? 魔法傀儡(マジック・ドール)如何やら魔力不足の様だが」

 

「テメェ、一目見タダケデ其処マデ解るノカヨ。バケモノ」

 

「姉さん、衛宮先生は人間です。訂正してください」

 

「チッ、分ッタスゲーナ人間。コレデイイカ? 取リ合エズ、テーブルノ上ニ座ラセロ」

 

茶々丸は何も言わずに人形をテーブルの上に置くと、一礼して下がった。人形は茶々丸が下がったのを確認するかのように数秒何も言わず、「行ッタカ」と言い。俺に話し始めた。

 

「俺ノ名ハチャチャゼロ、御主人ノ初代パートナーダ。礼ヲ言ウゼ人間、ソレト質問ダ。テメェ何人殺シテキタ? 人、人外、ソノ他モロモロ百ハコエテルダロ?」

 

「さあな、勝手に想像する事をお勧めする。殺した数が百を超えるのは君もだろ? チャチャゼロ」

 

俺がそう返すと、チャチャゼロは「チガイネェ」と笑った。

 

「俺としては、何故君にその様な質問をされるのかが分からないのだが」

 

「ケケケケ、自分の御主人様ノ懐ニ、テメェノ様ナ『殺シノプロ』モビビル様ナ奴ガ居ルンダ。警戒スルノガ当タリ前ダロ」

 

俺はそう言われ、それもそうかと納得する。

 

「コチトラ動キタクトモ魔力不足で動ケネェンダ、ナラ数百年動キ続ケタ経験を使ウシカネェダロ?」

 

「妥当だな、茶々丸では戦闘経験が足りないからお前が前に出るか・・・・すると茶々丸は奥でライフルでも構えているのか? 囮君」

 

「ケケケ、バレテラァ」

 

俺は再びドアに手を掛け、ポケットから宝石を取り出してチャチャゼロに抛って言う

 

「この間、使い魔を創った時の余剰魔力を貯蔵してある。エヴァの魔力供給無しでも暫くは動ける筈だ。それと、俺を射殺したいのなら俺を中心とした半径5キロの外から狙え。反撃を受けるぞ、茶々丸」

 

それだけ言って俺は自分の家に戻った。

帰る時に「ありがとう御座います」と言う声が聞えたが気の所為という事にしておこう。さてと俺も寝ることにしようか

 

 

 

 

side エヴァ

 

私は夢を見ている。

 

私が魔法と言う力を得、そして多くの人達が私に武器を向け襲い掛かって来る。

 

今まで何度も見た悪夢

 

この後、私は体を様々な武器で刺されながら武器を持つ人達を切り裂き、引き裂き全身に返り血を浴びると言う事が起きる・・・いや起きる筈だった。武器を持つ人達は全員が地に伏せ、私は返り血を浴びる筈だった。しかし私の目の前に在るのは大きい背中そして目の前の人物が顔だけ振り返り言う

 

「大丈夫か? 」

 

その男の顔はひどく奴に似ていた。

 

(ああ・・そうか私は・・・)

 

夢なのに涙が流れる

 

(自分でも解からないぐらい・・・・この男の事を)

 

男が慌てて私を抱く、私が涙を流したので驚いたのだろう

 

(想っているのか)

 

男の腕に抱かれる。そんな夢を私は見ている・・・・・・夢の中なら許されるだろう? 愛しい男の胸で泣くことも

 

 

 

ソレは恩返し。何処かで何かが可愛く鳴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき(ちょっとした説明?)

 

今回出てきた炎・螺旋剣は偽・螺旋剣をミサイルと例えるならライフルの様な物です。

 

炎・螺旋剣

より矢に近づけた物でブットイ針にも見えなくはない。偽・螺旋剣とは違い縫い止める物で、柄と鍔の部分に細かい返しが付いている。

 

なお、レーヴァテインは「世界を焼き尽くした剣」と同一の物と言及されていないので本当に「世界を焼き尽くす」事が出来るとは言いがたいと思ってます。可能性は有りますけど。

如何でも良い知識&自己解釈でした。