赤い魔術師と魔法使い プロローグ

 

五年前、俺は俺を助けてくれた後病室で「僕と一緒に暮らさないかい」と言ってきた衛宮切嗣の養子になることで、俺は衛宮士郎なった。

 

親父とすごした三年間は、とても楽しく騒がしい毎日だった。切嗣がまったく家事ができないダメ人間だったり、虎が来襲したり、切嗣に頼みこんで魔術を教えてもらったり、虎が飯を集りにきたり、色々あった。

でも、そんな楽しい時間もすぐに終わってしまった。

 

一年前〈衛宮家〉

 

 

 

「士郎」

 

「なんだ親父?」

 

切嗣は、月を見ながら俺を呼び言った

 

「僕はね、正義の味方になりたかったんだ」

 

「えっ? 親父は正義の味方じゃないのか?」

 

俺がそう言うと、親父は困った様な顔で俺を見て

 

「うん、残念だけどね。正義の味方は期間限定品みたいなものでね。大人はなれないんだよ。」

 

と言った

 

「ふ〜ん、そっか・・・だったら俺がなっ「だめだよ、士郎」なんでさ!?」

 

俺の台詞を遮って親父が言う。その顔には、嬉しさと悲しみが混ざり合ったような表情だった。

 

「士郎、僕はね。士郎に幸せになってほしいんだよ」

 

「・・・・・・・わかったよ」

 

「ありがとう。士郎わかってく「だったらさ」ん?」

 

だから、俺は言った

 

「俺がとんでもなく幸せになった上で、正義の味方になってやるよ」

 

「士郎?」

 

親父は、目を見開いて聞き返してきた

 

「それなら親父も文句ないだろ?」

 

俺がそう言うと、親父は笑顔で

 

「うん、そうだね。それなら何も言えないね。」

 

「士郎・・・君・・は・・・僕には・本当・・に勿・・体・ない・・・息子だ・・よ」

 

「親父?」

 

「士郎・・あ・りが・とう」

 

親父はそう言い残して息を引き取った。

 

月が綺麗な夜のことだった。

 

不思議な事に涙は出なかった。

 

親父の顔はとても幸せそうで、とても綺麗だったから・・・・・・

 

親父の葬式が終わって、一週間たった。俺は土蔵で、日課になっている魔術の訓練をしていた。今の所俺が使える魔術は、強化、解析、投影の三つだけ今日は一番成功率のある投影をしていた時の事だった。

 

「誰も居らんと言う事は無いか、魔力を感じる。微々たる物だが・・・・・・こっちか」

 

知らない人の声(失礼な事を言われたような気がする)がしたので魔術訓練をやめ、土蔵を出ようと立ち上がろうとした時、目の前に知らない老人が立っていた。その老人は俺を見た後すぐに、今さっき俺が創ったナイフを見て、土蔵の入り口・・・老人の足元に在った鉄パイプ(投影品)を手に持ち「ほぅ」と頷き俺の方を向いて

 

「これはお前が創ったものか?」

 

と言って俺が魔術で創った鉄パイプを持ってきたので

 

「そうですけど・・・・・彼方も魔術師ですか?」

 

と聞くと

 

「ワシを知らんか?」

 

と言われたので、偉い人なのかな〜と思い記憶を探ってみたが・・・・・・良く考えてみたら冬木のオーナーである「遠坂」と魔法使いと封印指定の最凶姉妹を輩出した「蒼崎」しか知らないので、素直に謝る事にした。

 

「すみません」

 

すると老人は、俺に

 

「ふむ、知識不足の上に対魔力も一般人と大差ない・・・か、しかし使う魔術は禁忌から漏れ出した物・・・・・・・面白い、面白いぞ。たしか前回の祭りは不完全、聖杯の魔力はそんなに減っては無かったはず。今代の「遠坂」は努力しだいでは至る可能性のある天才、マキリの妖老も健在、そしてイレギュラーも居る。そこに鍛えたこの子を加えれば・・・・・・どうなるか想像するだけでも面白い。少年、強くなりたくはないか?」

 

と言われ「Yes」と答えたのが十三歳の時の事だった・・・・・・もうさんざんだった。

英語やドイツ語を二週間で覚えさせられたり、面白そうだからと言う理由で蒼崎青子さんに合わせられたり(何故か気に入られたし)、死徒のお姫様である、アルトルージュ・ブリュンスタッドさんに会ったり(ホモに襲われかけた)、修行という名目でアインナッシュに放り込まれた・・・・・・死ぬかと思った・・・全然できなかった身体の強化が出来るようになったし・・・・・久し振りに家に帰ったら、親父の親戚の爺さんの所に行っていたことになってるし、そんなこんなで一年色々在った・・・・・・・・・そしてついさっきまで師匠こと、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグの宝石剣を投影させられていたのだが、何故か戦場にいます。

 

 

 

「なんでさ」

 

て言うか此処何処?